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posted:2022.4.21 from:京都府京都市左京区 genre:ものづくり
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writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
京都の先染め織物・西陣織は、1200年前から
貴族、武士階級、裕福な町人など、
錚々たる人々の支持を得て繁栄してきました。
その中で、大寺院御用達の織屋として創業した〈細尾〉。
時代が変わり、細尾は現在、帯やきものなどの西陣織の伝統的な技術を継承しつつ、
タイムレスなデザイン、感性を加え、唯一無二のテキスタイルを
国内外のラグジュアリーマーケットに展開しています。
そんな細尾に残された約2万点の帯図案が持つ
「余白」のデザインに着目する展覧会〈MILESTONESー余白の図案〉が
京都伝統産業ミュージアムで、2022年4月23日(土)より開催されます。
2014年から細尾は、京都芸術大学とともに〈MILESTONES〉というプロジェクトで、
約2万点もの帯図案を次世代が活用できるアイデアソースにするため、
デジタルアーカイブに取り組んできました。
それは細尾の代表取締役社長・細尾真孝氏主導のもと、
学生が手書きの帯図案を一枚一枚手作業でスキャンし、デジタルアーカイブ化するとともに、
各図案に込められた意味のリサーチを進めるというもの。
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本展では、この膨大なデータを活用し、
コンピュテーショナル・デザイナーでプログラマーの堂園翔矢氏とともに
機械学習によって生成された新たな図案と、
「カラーとコンセプト」を特徴とするクリエイティヴ・ユニット〈SPREAD〉によって、
独自の解釈で着彩された過去の図案が、インスタレーションとなって公開されます。
「図案」という言葉は、明治期にデザインの訳語として生まれたもの。
その源流のひとつは、京都における工芸の近代化にあり、
図案を土台とした工芸の創作活動は、産業・教育の双方から一般に普及しました。
西陣織も例外でなく、約20もの分業された工程は、図案の作成から始まります。
本展で登場する約2万点の図案は、その下書きにあたる未着彩のもの。
図らずも残された未着彩の図案は後世への「余白」となり、
デザインの可能性を再考するひとつの道標になると展覧会は定義します。
機械学習と着彩。図案作成当時は想像できなかっただろう今回の作品に
現代の表現の可能性を感じられることでしょう。
information
特別企画展「MILESTONES ー 余白の図案」
会場:京都伝統産業ミュージアム 企画展示室
住所:京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 みやこめっせ B1F
会期:2022年4月23(土)~7月18日(月・祝)
休館日:4月25日、5月30日、6月27日
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
観覧料:一般当日 800円(18歳以下無料)、前売り・学生・各種割引 500円
*価格はすべて税込です。
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