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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
山形県山辺町に、じゅうたん製作の高い技術で知られるメーカーがあります。
名前は〈オリエンタルカーペット〉。
糸づくりから染め、織り、アフターケアまで、一貫して自社で行っています。
同社が手がけるブランド〈山形緞通〉は、素足の生活様式に合わせた、
日本人の暮らしに寄り添うじゅうたん。
そのこだわりは、素材選びにも現れています。
主な原料は、素足に心地よい羊毛。
ニュージーランド産とイギリス産をメインに選び、自社で紡いでいます。
たとえば新古典ライン〈石楠花 (shakunage)〉には
ウールとシルクを使用し、ベロアのような肌触りに。
立体的に浮かび上がるダイナミックな柄は、
和にも、洋の空間にも合ようにデザインされています。
新古典ライン〈石楠花 (shakunage)〉
ものづくりを支えているのは、女性の職人たち。
ここでは数ある工程のなかから、一部を見せてもらいましょう。
こちらは手織りの作業を行っている様子です。
手織りは、創業当初から受け継がれてきた伝統技術。
細かな設計図をもとに、縦糸に糸を結びカットする作業をひたすら繰り返していきます。
1日に織り上げられる長さは、わずか7センチ程度。
織りには「手刺(てさし)」という技術も用いられます。
職人さんが図案に合わせ、フックガンという工具で織っていきます。
手織に比べ製作時間を短縮できますが、忠実に図柄を表現するために、
打ち込む力やバランスを均一に保つ高い技術が必要です。
その後はじゅうたんの表面を均一にカットする「シャーリング」や、
柄を立体的に見せるため、ハサミで浮き彫りにしていく「カービング」など、
それぞれの技術に卓越した職人さんの手によって、
なめらかで艶やかなじゅうたんに仕上げられていきます。
シャーリング(表面仕上げ)を行う職人さん。じゅうたんの表面を均一にするため、芝刈りのような専用機械で表面を切り揃えていく。
山形緞通の大きな魅力のひとつは、
豊かな色彩が織りなすグラデーション。
こちらは、実際にじゅうたんに使用されているウールの糸です。
オリエンタルカーペットでは、じゅうたんの色を
細やかに表現するため、自社で色の調合と染色を行っています。
こちらは色見本。社内には、これまでに染めたおよそ2万色以上の糸をストックし、
デザインやクライアントの要望に合わせて提供しています。
下の写真は、著名デザイナーとのコラボレーションによる、デザイナーライン〈MORI〉。
建築家の隈 研吾さんがデザインしたじゅうたんです。
デザイナーライン 隈 研吾〈MORI〉
緑の豊かさをダークグリーンの色彩と
三層の毛糸の質感で表現しています。
同シリーズの〈KOKE〉は、苔の質感を
糸の質感と毛足の長さで表現したもの。
デザイナーライン 隈 研吾〈KOKE〉
足もとに艶やかな青い苔が一面に広がります。
こうした繊細なニュアンスを表現できるのも、山形緞通ならでは。
下の写真は、〈スマイルズ〉の遠山正道さんとの
コラボレーションから生まれた〈a big stone りんご〉。
〈a big stone りんご〉
遠山さんが山形の工場を訪れた際に描いたスケッチをもとに、
同社が製作を手がけました。
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オリエンタルカーペットの創業は昭和10年。
当時のまちに女性が働ける場は少なかったといいます。
そこで、地域再生のために創業者の渡辺順之助さんが
目をつけたのがじゅうたんづくり。
〈ニッポン絨毯製造所〉を創設し、シルクロードを
渡った織物技術を学ぶため、中国から技術者を招き、
じゅうたんの製作を始めました。
街に工房ができると、地元の女性たちが働き始めました。
同社では、現在でも職人のほとんどが女性です。
染色のスペシャリストの職人さん。社内には高校を卒業したばかりの方もいれば、勤続歴60年以上の職人さんもいます。
人の手と現代の技術が織りなす、山形緞通のじゅうたん。
同社では、平日のみ工場見学も受けつけています。
展示室では、これまで同社が手掛けてきたじゅうたんを見ることができます。
なかには、文化施設や著名建築に納めた多くのじゅうたんも。
その細密な表現力を直に見てみたいという方は、ぜひ。
information
オリエンタルカーペット
住所:山形県東村山郡山辺町大字山辺21番地
TEL:023-664-7220
Web;https://yamagatadantsu.co.jp/
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