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posted:2019.8.20 from:島根県江津市 genre:エンタメ・お楽しみ
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writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
石見地方において、室町時代後期にはすでに
演じられていたと言われている伝統芸能「石見神楽」。
この5月に日本遺産にも認定されました。
たくさんの装飾が施された眩しいほどの煌びやかな衣裳、
あちらの世界に足を運んでしまったかのようにも思えるダイナミックな舞、
単純明快、だけども引き込まれてしまうほどのストーリーなど、
石見神楽の魅力はひと言では語りきれません。
大人が懸命に取り組んでいる姿から、幼いながらも神楽の魅力に触れ、
幼稚園や小学校から神楽を演じている子もいまだにいるんだとか。
地元の浜田商業高校でも、神楽がひとつの部活動として認められているなど、
その歴史は廃れることなく、今でも脈々と受け継がれています。
今年の3月、そんな石見神楽を披露する
県内で初となる石見神楽専用の芝居小屋〈石見小屋〉が、
島根県江津(ごうつ)市のドライブイン〈神楽の里舞乃市〉内にオープンしました。
この〈石見小屋〉は、神楽の社中さんが設計から内装まで手がけており、
木造平屋建て165平方メートルの館内は約100人の収容が可能。
専用の音響システムと4基のムービングライトなどが完備され、
神楽の舞に合わせ、場内に迫力の光と音が降り注ぎます。
石見神楽本来のスタイルである、演者と観客が一体となって楽しむスタイルを継承し、
壇上と客席は同じ高さに。
天井を見上げると約200個のちょうちんが垂れ下がっています。
ここまで設備の整った石見神楽専用劇場は石見初なのだそう。
ここで「舞乃座(まいのざ)」として月4回ほど神楽を上演し、
それ以外はバーベキューハウスとして、
石州瓦型の器の上で地元の食材を使ったバーベキューや料理などを楽しむスペースとして
運営されます。
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この舞乃座の完成に要した時間は、なんと10年。
石見神楽の魅力を広く発信する場として機能してほしいという想いに加え、
近年問題になっている石見神楽の後継者不足や
運営システムの改善にも一石投じて欲しいと、
施設の責任者である、浅利観光株式会社の植田智之さんは語ります。
「石見神楽は地域のお祭りなどに欠かせないものでしたが、
近年は運営費用となる御花を渡す文化がなくなり、
さらにサービスとして公演を行うことが多く、
神楽のほとんどが無料で見るものとなってしまいました。
その結果、各団体の運営が難しくなっているのが現状です。
若者も県外への就職により神楽ができなくなり、
地元でも仕事との両立が難しくなってきています。
今回、〈石見小屋〉を石見神楽の専用会場として
運営することで、そのような課題が改善し、地元の子どもたちにも
いつかあの舞台で舞いたいと地元就職を希望してもらえるような場に
なればいいなど、いろいろ欲張りな想いを抱いています」(植田さん)
今後も石見神楽の魅力が伝わるよう、
この〈舞乃座〉でさまざまな取り組みが行われるそう。
石見の文化であり、地元の人に愛され、
現代まで大切に守り伝えられている石見神楽。
舞乃座は、そんな歴史ある石見神楽の未来をつくる場として、
地元の人々の期待を一身に背負っています。
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