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連載

〈天理駅前広場
CoFuFun(コフフン)〉
佐藤オオキデザインによる
古墳モチーフの広場が
フフン〜♪とオープン!

Local Action
vol.100

posted:2017.5.3  from:奈良県天理市  genre:活性化と創生 / アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

editor's profile

Yu Miyakoshi

宮越 裕生

みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。

credit

撮影:出地瑠以

Photo : Takumi Ota

2017年4月、奈良県北中部にある天理駅前に
〈天理駅前広場 CoFuFun(コフフン)〉がオープンしました。

駅を降りると、目の前に芝生が広がり、不思議なかたちをした建物群が……
ここが、このたび完成したコフフン!

Photo : Takumi Ota

円形の不思議なかたちが点在する広場のデザインを手がけたのは、
佐藤オオキさん率いるデザインオフィス〈nendo〉。
nendoがデザインのモチーフに選んだのは「古墳」でした。

ユニークなのは、古墳の使い方。
こうして建物にのせると大きな屋根に!

〈インフォ&ラウンジコフン〉Photo : Takumi Ota

逆さまにすると、まるで宇宙船のようなかたちに。

屋上に巨大トランポリンがある〈ふわふわコフン〉Photo : Takumi Ota

古代大和時代にヤマト王権が形成された地、天理市には、
古くから連綿と続いてきた暮らしがあります。
市内には、なんと約1600基もの古墳が残っているのだそう。

その古墳のかたちを組み合わせ
起伏に富んだランドスケープをつくることで、
山々に囲まれた奈良盆地の地理的特徴を表したのだとか。

「古墳が複数の役割を果たし、まるで全体がカフェであり、
全体が遊具であり、全体が大きな家具に感じられるような、
そんなゆるやかな空間。
この広場はみなさんに自由に使っていただくのが正しい使い方です。
よそいきの時間じゃなくて、どんどん使ってどんどん関わっていただき、
日常のものにしていただけたら」とnendoの佐藤さん。

Photo : Takumi Ota

コフフンという名前は、モチーフである古墳と、
思わず「フフン〜♪」と鼻歌を歌いたくなるような
心地良さを提供したいという気持ち、
そして市民のみなさんが「フフンッ」と自慢できるような
場所となってほしいという思いからつけたのだそうです。

このプロジェクトは、天理市が
天理駅前からにぎわいを広げていくため
3年前から進めてきたプロジェクト。
以前の駅前には人が憩う場がなく、少々寂しい場所だったそうですが、
コフフンオープン後は、駅前に子どもからお年寄りまでが集い、
とてもにぎわっています。

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問い合わせ続出!? ふわふわコフンがえらいことになってる

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ほとんど事件!オープン直後から子どもたちで大にぎわい

Photo : Takumi Ota

おもしろそうなものに目がない子どもたち。
広場が4月にオープンすると、あっという間に遊具が大人気に。
一番人気は〈ふわふわコフン〉。
屋上にドーム型のトランポリンがある大きな遊具です。
JR の駅ホームからも広場が見渡せ、屋上で跳躍する子どもたちの姿が見えるため
「駅前で何が起きているんだ」と問い合わせまできたのだとか。
広場を一望でき、眺めも気持ちいい!

〈ふわふわコフン〉階段をのぼって入口を入ると、子どもたちが飛び跳ねる遊び場が広がっています。Photo : Takumi Ota

こちらは、ちょっと上級者向けの〈すりばちコフン〉(左)。

〈すりばちコフン〉(左)と〈テーブルコフン〉(右)。Photo : Takumi Ota

これは底まですべり降り、ぐるぐる回りながら駆け上る遊具です。
右側は、大きな円形テーブルの周りに座れる〈テーブルコフン〉になっています。
遊具はこのほかに、すべり台やブランコなども。
高齢者の方が運動できる健康遊具もあります。

駅に一番近いところにある建物は、カフェレストランと観光案内所、
レンタサイクル&バイクショップを備えた〈インフォ&ラウンジコフン〉。

〈インフォ&ラウンジコフン〉円形のため、中央に柱や梁を設けずに大空間が形成でき、構造体としてもバランスがいいのだそう。Photo : Takumi Ota

カフェレストラン〈パークサイドキッチン〉では、
地元の食材を使ったバイキング形式のごはんや、
総菜パン、スイーツなどが食べられます。
広々とくつろげるのがうれしい!

ランチタイムのあとは、カフェタイム。写真はお店で手づくりしているという、ガトーショコラ。

観光案内所も、ぜひ立ち寄りたいコーナー。
天理周辺では、日本最古の道と言われる散策コース〈山の辺の道〉や
古墳群をはじめとしたいにしえの歴史、
青垣山系でもっとも高い山、龍王山などの自然をめぐる旅が楽しめます。

バイシクルカラーでは、米国スポーツバイクメーカー〈TREK〉の
自転車をレンタル・販売・修理しています。
天理には、奈良や桜井、明日香、吉野、三重まで行ける
サイクリングにいい道がたくさん。

このほかにも、広場には野外ステージや
地域産品を扱うアンテナショップ〈コフフンショップ〉、
高架下室内空間に展開する待合所などがあり、
マルシェやライブ、ワークショップなど、
さまざまなイベントが開催されていく予定です。

〈南団体待合所〉はJR 天理駅の高架下室内空間がパブリックスペースとなっています。(団体列車利用のない日のみ)家具にも、古墳のかたちが使われています。photo:コクヨ株式会社

〈コフフンショップ〉はおみやげ選びにぴったり。

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これからの時代の公共施設のモデルへ

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コフフンはみんなが思い思いにつくっていく場所

天理市長の並河健さん。

4月23 日(日)、コフフンの竣工記念式典が開催され、
市長の並河健さんとnendoデザイナーの佐藤オオキさん、
天理市のブランディングプロデューサー 服部滋樹さんによる
〈地方創生トークライブ〉が行われました。

左から佐藤オオキさん、服部滋樹さん。服部さんは大阪を拠点に家具、空間、プロダクト食、アートなどさまざまなクリエイティブ活動を展開する〈graf〉の代表でもあります。

並河さんが駅前の整備計画に着手したのは、今から3年ほど前のこと。
駅前をどうすれば市全体、県全体を活性化していける場所になるんだろうと
地元の人たちと議論を重ねてきたといいます。

それをかたちにしたのが、9社が参加したコンペを
勝ちぬいたデザインオフィスnendo。
並河さんは、佐藤さんが当時のプレゼンで言っていたことを振り返ります。

「佐藤さんは最初から、子どもたちは自発的に遊びの可能性を開いていくし、
その周りにいる家族も自分の時間というものをつくっていく。
だから型にはまったエンターテインメントを供給するより、
市民がそれぞれに楽しみ方を掘り起こしていけるような場のほうが
可能性があると仰っていたと思います」(並河さん)

「いまはまさにそういう時代かもしれませんね。
こちらが何かを用意し受け手が受けとるだけではなく、
みなさんに参加していただくことが重要だと思います」(佐藤さん)

「デザインにはそういう“隙間”がないと受け手が入ってこられない。
いい余白のある場ができあがったと思います」(服部さん)

コフフンショップで発見した、奈良一刀彫の昔話の主人公たち。

服部さんはいまのライフスタイルにどうやって天理の歴史や文化、自然を生かし、
みんなに伝えていくかという部分でブランディングを行っています。

「今回プロジェクトタイトルとして“めぐみめぐるてんり”という言葉をつくりました。
めぐみというのは、天理では何千年も前から古墳周辺で
農業をしている人たちがいるんです。
何千年前も前からということは、オーガニックですよね。
その土地をそのまま使って農業をしていらっしゃる人たちが
いるというのはすごいめぐみだと思ったわけです。
それにともなう歴史もめぐみだと思います。
その“めぐみ”が“めぐる”というのは循環しているイメージです。
そのめぐみとともに生きていくことは宝だと思い、この言葉を考えました」(服部さん)

コフフンのまちづくりを真似してほしい

最後に並河さんが問いかけたのは、
コフフンのデザインとまちづくりの可能性について。
「このプロジェクトの制作プロセスをもっと公開していきたい」
と語ったのは佐藤さん。

「たとえば市長はドアノブの金具ひとつひとつまでチェックされていたんですね。
このプロジェクトは、建築家がハードをつくる、
クライアントがソフトをつくるという分業ではなく
関わる人みんながそれぞれの意見や知見を共有し合い、
常にソフトの可能性を探りながら
ハードを設計するような感じで進められてきました。
そういったプロセスのひとつひとつが大事でしたし、
そこで培われた資産を公開していくということはとても重要だと思います。
こういう事例が全国に広がっていくことが、
このプロジェクトの成功といえるんじゃないかなと感じています。
いいところはどんどん盗んでいってもらいたいですね」(佐藤さん)

「今回の仕事の仕方は、我々行政にも非常に参考になるところがありました」(並河さん)

「最近は公共施設の在り方が変わってきました。
それは施設の使い方や可能性をもっと広げていくべきというメッセージだと思うんです。
なので、みなさんにも固定概念を崩して
“やってみたらどうなるやろう”とアクションを起こしてもらえたら
いいんじゃないかなと思っています」(服部さん)

トークは以上で終了。
最後は、まちづくりに携わる方たちへのエールのようでした。

Photo : Takumi Ota

実は、今回の式典がきっかけで初めて天理を訪れたコロカルチーム。
駅前にいくだけで天理の人や文化や歴史や
おいしいものとたくさんふれあえました。
そんな体験ができるコフフンはスゴイ!
今後の展開も楽しみですね。

information

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天理駅前広場コフフン

住所:奈良県天理市川原城町803 天理駅前広場

アクセス:JR・近鉄天理駅よりすぐ(大阪駅や京都駅から約50分)

営業時間:多目的広場 終日/ふわふわコフン 9:00〜17:00(夏期は18:00)

電話:0743-63-1001(天理市総合政策課コフフン賑わいづくり推進室)

Web:天理駅前広場コフフン

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インフォ&ラウンジコフン

住所:奈良県天理市川原城町803 天理駅前広場

インフォメーション:9:00〜16:00(季節により変動あり)

パークサイドキッチン:11:00〜22:00

バイシクルカラー:平日12:00〜20:00休日11:00〜20:00

Web:Parkside Kitchen

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