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連載

ブームからムーブメントへ。
発酵デザイナーがデザインする社会
小倉ヒラク 前編

貝印 × colocal
「つくる」Journal!
vol.036|Page 1

posted:2016.1.26  from:東京都武蔵野市  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  歴史と伝統のあるものづくり企業こそ、革新=イノベーションが必要な時代。
日本各地で行われている「ものづくり」もそうした変革期を迎えています。
そこで、今シーズンのテーマは、さまざまなイノベーションと出合い、コラボを追求する「つくる」Journal!
ものづくり・しくみづくり・ひとづくり・食づくり、場づくりetc、
貝印 × コロカル × earthradioチームが、フレキシブルにテーマを取り上げていきます。

writer's profile

Tomohiro Okusa
大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer

Suzu(Fresco)

スズ●フォトグラファー/プロデューサー。2007年、サンフランシスコから東京に拠点を移す。写真、サウンド、グラフィック、と表現の場を選ばず、また国内外でプロジェクトごとにさまざまなチームを組むスタイルで、幅広く活動中。音楽アルバムの総合プロデュースや、Sony BRAVIAの新製品のビジュアルなどを手がけメディアも多岐に渡る。
http://fresco-style.com/blog//

ソーシャルデザイナーから発酵の世界へ

発酵デザイナー。そんな不思議な肩書きで仕事をしている小倉ヒラクさん。
一体、発酵の何をデザインするのだろう。
そもそもは何でもこなすインハウスデザイナーだった。

「ある企業の中で、パッケージや広告、会報誌のダイレクトメールなど、
いろいろなデザインを担当しました。
8年ほど前にその会社から独立したのですが、
もちろんすぐに仕事があるわけではありませんでした。
そんなとき、知り合いから“ヒマなら、秋田で困っている農家のおばちゃんがいるから
話を聞いてあげて”という話がきたんです。
その農家で“こういうチラシをつくってみたら”とか解決策を提示してみました。
すると、その農家の知り合い、またその知り合いから、
わらしべ長者のように仕事がやってきたんです。
気がついたら、東京ではまったく仕事をせず、地方で長靴ばかり履いている。
一次産業とか生態系を取り扱っていて、
どんどん普通のデザイナーのキャリアから逸れていきました。
本当はオリンピックのロゴとかつくるようなデザイナーに
なるつもりだったんですけど(笑)」

今ではトレンドともいえる地域デザイナーの走り。
その流れで、ソーシャルデザイナーとして活動していくことになる。

“発酵ウェア”である藍染めのオーバーオールを着ている小倉ヒラクさん。

「当時携わっていたのは、林業関連、田んぼの生態系、
オフグリッドの都市計画などのデザインです。
まだソーシャルデザインという概念すらほとんどないような、黎明期でしたね。
まわりにもそんなことをやっている人はほとんどいませんでした。
しかし現在の状況を見てみると、
数年前からソーシャルデザインというものも普及しているし、
僕よりも才能がある人たちがたくさんいるから、
僕がプレイヤーにならなくても、任せておけば大丈夫だと思ったんです。
正直に言えば、社会に役立つことよりも、自分の好きなことを極めてみようと。
自分にしかできない、長く続けられることをやっていきたいと思いました」

それが発酵の世界。
会社から独立し、ソーシャルデザイナーとして働き始めたと同時に、
発酵の世界にも興味を持っていった。
それは自分の体へのインパクトがきっかけだった。

「体が強くなくて、アレルギー、アトピー、喘息なども持っていて、
免疫不全だったんです。
しかもがんばって仕事して、がんばって遊んでしまっていました。
あるとき、発酵学の神といえる小泉武夫さんにお会いしたんです。
会った瞬間に“免疫不全だね。顔を見ればわかる”と。
続けて“納豆、みそ汁、漬け物を食べたほうがいい”と言われました。
言われた通りにしてみると、どんどん治っていったんですよ。
そこから発酵学に興味をもち、以来、360度ハマっています」

〈こうじづくりワークショップ〉が定期的に開催されている吉祥寺の〈タイヒバン〉。店頭にはあるこちらはなんと堆肥! が、まったく臭くはありません。写真:編集部

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