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posted:2015.11.24 from:東京都文京区 genre:食・グルメ
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
東京・小石川にある和菓子屋「一幸庵」。
店主の水上力(みずかみちから)さんは
京都・名古屋で和菓子職人として修業を積み、1977年にお店を開き、
以来、この地で和菓子をつくり続けています。
じつは水上さん、ヴァローナ・ジャポン・エコール東京や
フランスの「サダハルアオキ」「ジャン・シャルル・ロシュ」をはじめとする
パティスリーメゾンなどとコラボレーションを行っており、
その存在を世界にも知られるお方。
今年の冬、そんな水上さんの和菓子の世界を伝える本
「IKKOAN」が出版されました。
紹介されているのは、72候(しちじゅうにこう)という暦を
モチーフにした、72のお菓子たち。
日本には、四季を立春や夏至、秋分、大寒などに分けた
二十四節気というものがあり、
それを更に細かく分けたものを、72候と呼ぶのだとか。
72候には、「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」や
「竹笋生(たけのこしょうず)」などのように、
その季節の情景や旬を表す、美しい名前がついています。
水上さんは、そんな季節をひとつひとつ、
“竜安寺の石庭のように小さくも美しい和菓子”に凝縮しました。
たとえば1月15日〜1月19日までを指す「雉始雊 」(きじはじめてなく)は、
雄の雉が甲高く鳴き、雪のうえに降り立つ頃。
水上さんはこの「雉始雊」に合わせて、雉という彩りによって、
雪に色が加わる情景を表現。
薯蕷饅頭の生地で漉し餡をはさみ、
雄雉に見立てた5色のこなし(白餡を原料にした生地)をのせています。
なんとも目に鮮やか!
お菓子を通して、古来の日本人と季節のつき合い方にふれられるようです。
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この本を手がけたのは、クリエイティブディレクターの南木隆助さん、
アートディレクターの川腰和徳さんをはじめとするクリエイティブチーム。
きっかけは、一幸庵のお菓子を食べて育った南木さんが、
水上さんが後継者不足の問題を憂えているという話を聞いたこと。
そこで、和菓子業界を盛り上げていきたいと
水上さんの仕事を世界に紹介する
日仏英の三か国語によるブランドブック「IKKOAN」を企画しました。
本書の出版費用の一部はクライドファンディングで集められたのだとか。
今後は海外の美術館関係者に向けてプレゼンテーションなどを行ない、
和菓子をテーマにした展覧会の実現を目指していくそうです。
2013年に和食がユネスコの世界文化遺産化に認定され、
世界的に日本食ブームが起こりましたが、
和菓子職人に注目が集まることはほとんどなかったのだそうです。
もしかしたらこの次は、和菓子にスポットライトがあたるかも。
外国の方へのプレゼントにも喜ばれそうですね!
「IKKOAN」
ハードカバー 198ページ
価格 3990円(税別)
フォトグラファー 堀内誠
プロデューサー 佐藤勇太
取り扱い 一幸庵、HMV&BOOKS TOKYOほか
菓子調進所 一幸庵
住所 東京都文京区小石川5-3-15
電話 03-5684-6591
アクセス 東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅徒歩5分
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