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〈Kazemachi SHIMODA
-風まち下田-〉
空き物件を再生し、子どもの居場所、
そして交流、共創、挑戦の場に!|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.149

Page 3

地方創生は誰がやる?

この一連の撤退の流れを目の当たりにして、痛感したことがあります。
そもそも地方創生の取り組みは、短期的な働きかけではなく、
持続的に地域と関わり続けて成り立つものなはず。
それは、地域に暮らす者こそがやることではないのか?
再び空き物件となってしまった施設を目の前に呆然としつつ、
そんなことを考えていました。

賑わいを見せたあの「交流の場」を、
もう一度つくることはできないのだろうか?
いやいや、個人が手を出せるような規模ではない。
けれど建物が大きいこと、
部屋数の多さをうまく利用することができれば、
逆に強みになるのでは?
そして何より、個人だから、地域に暮らす自分だからこそ
できることがあるのではないか。

下田に住んでいるからこそ、地元の方の声を直接聞くことができる。
そして利用者さんとも直に接し、ニーズを拾い上げることができる。
そうしたニーズを的確に汲み取り、それを運営に落とし込んでいけば、
もっと地域の人に使ってもらえる施設になるのでは?
そうすれば、さらに「下田ファン」を生むような場、
地域内外から「長く愛される場」をつくれるのではないか?
そうして、悩みに悩み、空き物件を再生させることを決意したのです。

日々、ワーケーション施設の現場で、自分が下田で暮らすなかで、
また、昨年度、市のPTA代表として
さまざまな地域の親や子どもたちと話すなかで感じる地域内外、
下田に関わる人の「こんな場があったら……」というニーズに
どんなものがあったのかというと……

『こんな場があったら…』というニーズの箇条書き

特に、「地域の子どもの居場所がない」
「子どもが自習できる場所がない」という切実な声を多く聞きました。
しかしながら、これを事業にして利益を出すのは難しいとも思います。
でも、先ほども触れたように建物は4階建てで、
部屋数としては30以上もあります。
外部にはデッキもあり、一階は広い共有スペースがあり、
屋上も使えるという、たくさんの「場」のあるこの建物。
利用者のニーズを把握しながら、この建物をフルに生かし、
きちんと利益を出せば、『子どもの居場所』だって実現できるのでは!?

挑戦・交流・共創のイメージ図

まちに賑わいを生む施設をイメージしたイラスト。この連載でも紹介した民宿を営みつつイラストレーターも活躍する土屋たかしさんに描いていただきました。

屋上スペースで椅子に座ってくつろぐ利用者

屋上スペース、とても気持ちいい空間です。

屋外のデッキスペースで屋台が出店している状況

屋外のデッキスペース。川沿いに位置していて、夕暮れどきはとても心地よく、いろいろな可能性を秘めています。(写真提供:上田和弥)

旅の人、地元の人、移住者、地域の子ども、多拠点居住者、
地域の事業者、仕事で下田に来る人、
合宿利用の地域外の企業人や学生……。

「ここに来ると普段出会わない人と知り会えて、価値観がひろがる!」
ここを訪れる地域の方にそう言われることがあります。

地方に足りないのは、
こうした「交流」から生まれる
「価値観のひろがり」なのかもしれない。
一度、都会に出た若い世代が、地元に戻ってこない。
そして『人口減少』という問題につながっていく。
地方にこそ、価値観がひろがるような
「交流」が必要なのではないか?
さまざまな「交流」をつくっていくことこそ、
この場の役割と考えています。

施設の外で花火を楽しんでいる子どもたち

先日、工事を手伝ってくれている友人たちと集まり、食事会をしました。子どもたちは花火に大喜び。子どもの笑い声が久々にこの場所に響きました。