menu
記事のカテゴリー

〈Kazemachi SHIMODA
-風まち下田-〉
空き物件を再生し、子どもの居場所、
そして交流、共創、挑戦の場に!|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.149

Page 2

元ワーケーション施設の
空き物件を再生させる!

017年に家族3人で移住し、この春で下田在住8年目となります。
小学校入学前だった娘は中学生になり、
わが家の暮らしもだいぶ変わってきました。
そんなタイミングで、とても大きな動きがありました。
今、空き物件を再生させるべく法人を立ち上げ、
多くの方の協力を得ながら開業準備をしているのです。

移住した当初は、まさか自分が下田で事業を始めるなんて……、
法人を立ち上げるなんて……。まったく想像していませんでした。
人生何があるか? わからないものです。
そして、これもまた人生初の試みなのですが、
新事業立ち上げの資金を集めるために、
クラウドファンディングにも挑戦しています。
今回はその概略をお伝えできればと思います。

どんな事業かというと、
下田の中心市街地へとつながる橋のたもとにある
4階建ての空き物件を、
『地域内外の人が集う『交流・共創・挑戦』の拠点、
そして『地域のこどもの居場所』となる複合施設として再生させ、
運営していくというものです。

〈Kazemachi SHIMODA - 風まち下田 - 〉の施設全体の解説イメージ図

具体的には、
・シェアハウス(オフィス・教室なども入居可)
・ ゲストハウス
・ コワーキングスペース
・シェアカフェ(日貸し・週貸しの飲食店。自分と妻によるカフェ営業も)
・イベントスペース
・子どもの居場所(自習利用可、卓球台やボードゲームのある
プレイルーム、こども図書館、定期的にこども食堂を開催)
というイメージです。

施設名は、かつて下田が江戸と大阪という
最も重要な航路の途中にある
「風待ち港」(風や雨が激しくなったときに船が避難する港)として
栄えた歴史を踏まえて
〈Kazemachi SHIMODA -風まち下田-〉としました。

海沿いに立つ〈Kazemachi SHIMODA - 風まち下田 - 〉の外観

まず、なぜ自分がそんなことを考えるに至ったのか、
少し時間はさかのぼります。
2019年、地方創生に取り組む東京の企業が、
「元造船会社の寮」だった4階建ての空き物件を再生させ、
ワーケーション施設として開業させました。
私はその施設の拠点マネージャーとして、
2022年より運営に携わるようになったのです。

高校生を招いての施設内でのワークショップの様子

コロナ禍の影響もあり、施設は多くのリモートワーカーで賑わい、
イベントを企画し、利用者と地域の人との交流の場をつくりました。
多種多様な人たちがこの施設で同じ時間を過ごし、
新たな関係を築くようになったのです。
ここでの「交流」がきっかけとなり、
「下田」の人やまちや自然を気に入ってリピーターとなり、
なかには下田に移住、起業した方もいて、
多くの関係人口を創出しました。

テラスで行われた音楽イベント

イベント時の施設内。たくさんの参加者が飲食を楽しんでいる

ところが、施設は昨年2023年の年末に、企業の都合で閉鎖され、
この場所は再び空き物件となってしまったのです。

「開国のまち」で知られる伊豆下田。
東京から3時間以内で行ける距離にありながら、
南国を思わせる白い砂浜のビーチが人気の観光地です。
特に夏は多くの観光客で賑わうのですが、
急激に進む人口減少、それに伴う人手不足、
夏とそれ以外の繁閑の差、
多くのシャッターが閉じたままの商店街、
増える空き家・空き物件……といった課題を抱えています。

そんななか、たくさんの人が集い、
多くの関係人口を生んでいた施設が閉鎖されてしまったことは、
施設に関わっていた方たちにとって、
もちろん私にとってもとても残念なことでした。

夜、真っ暗になった施設の外観

小さなまちのあかりが、またひとつ消えてしまいました。地元の方は「あんなに賑わっていたのに……」「あそこの子たちがまちからいなくなると寂しくなるねえ」と。