menu
記事のカテゴリー

稲刈り前の準備に必要なこととは?
稲架かけや天日干しまで、
手作業が集約したお米づくり|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.134

Page 3

手間がかかっても
天日干しにこだわりたい

そこでもうひとつ、稲刈りの前に段取りしなければいけない
大きな「壁」が、竹の用意です。
稲刈りで竹? 
一般的に流通している米は、
稲刈りを終えると機械で乾燥させるのですが、
わが家では収穫した稲を竹で組んだ稲架(はさ)に
引っかけて2週間ほど天日にさらして乾燥させています。
稲架かけとか天日干しって聞いたことあるし、
あの田んぼに稲が干してある風景、
見たコトあるという方は多いかと思いますが、
天日干しは本当に手間がかかるし、
風で倒れたり獣や鳥に食べられたりというリスクがあるのです。

では、なぜ天日干しにこだわるのか? というと、
せっかく自分たちの食べる米を自分たちでつくるのなら
できる限り手作業にこだわりたいですし、
天日干しのほうが旨みが増す(気持ちの問題でしょう? 
と思われるかもしれませんが、実証した論文もあるのです)
といったこともあり、天日干しで米づくりをしてきました。

稲架かけの様子

こちらは昨年まで借りていた田んぼでの稲架かけをする様子。この列島の原風景ともいえるこの景色を遺していきたい、そんな思いも少なからずはあります。効率を重視するナリワイとしての米づくりではなかなかできない方法です。

そして、その天日干しには竹が必要なのです。
なかには木材や鉄パイプでやっている方もいますが、
手に入りやすさと加工のしやすさから竹でやっている方が多く、
自分もそうしています。
昨年も竹で稲架を組んで天日干しをしました。
田んぼの面積はそんなに変わらないので
本来であれば追加で竹を用意する必要はないのですが、
田んぼを引っ越したということもあり、
傷んでいる竹の多くを以前の田んぼで燃やしてしまったのです。

稲刈り後の田んぼで竹を燃やしている

これまでの田んぼでは、水路の上部に骨組みをつくって保管していました。水路の上ということもあって、湿気が多く、多くの竹が傷んでいました。竹にしても藁にしても、燃やせば灰になり、それが土の栄養になる。こうした「循環」って本当にすばらしいと感じます。

状態の良い竹を少しだけは運んではいたのですが、
とても足りなそうです。
米づくり1年目のときは大量に竹が必要だったので、
何日間か竹林に通って竹を伐採して、田んぼに運びました。
その作業、かなりハードだった記憶があります……。

伐採して並べられたたくさんの竹

米づくり1年目に伐採した竹。天日干しで米づくり始めたい! という方、この作業は想像以上に手間がかかりますので覚悟のほどを!

また、アレをやらなきゃいけないのか……
と頭の片隅にありながらも、
日々の忙しさもあってなかなか実行できずにいました。
そうこうしているうちに稲刈りの日程がせまってきます。
ああああ、竹伐りしなきゃ……でも、時間がない……と、
焦っていたそのとき、田んぼのご近所さんから、
「ウチに前に使ってた竹がたくさん残ってるからあげるよ。使いな〜」
というなんともうれしすぎる申し出があったのです。
厚かましくもどんな竹か見に行かせていただくと、
とても保管状態もよくて、状態のよい竹が沢山ありました。

状態のよい竹が保管されている

ご近所の方の家の裏の竹保管場。ここには沢と田んぼがあって、竹林があって、畑があって、果樹が植わっていて。これぞ里山での暮らし、という感じです。

ええええ? これ全部いいんですか? と、確認すると、
もう使わないからどうぞどうぞ、と。
おまけに収穫した米の保存缶もいただくことに
(ありがたすぎます、本当に)。
おかげさまで、頭も片隅のもやもやもすっかり取れて、
無事に稲刈りの日を迎えることができました。

しっかりと実ってまさしく「こうべを垂れる」稲穂

稲刈り前日の稲の様子。肥料を使っていないのですが、山から流れてくる栄養たっぷりの水のおかげでたくさん実ってくれました。