menu
記事のカテゴリー

「田んぼの引っ越し」に必要なことは?
5年目の米づくりは
あらたな地域で始める|Page 5

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.127

Page 5

大賀茂と稲梓、ふたつの田んぼ。
地域の人との作業を経験して

さて、どうしたものか?
お世話になった大賀茂の人たちや
南伊豆米店さんに負担をかけずにしたい。
一番いいのは、誰か、引き継いでやってくれる人を見つけること。
わが家の田んぼの田植えや稲刈り、草取りを手伝ってくれていた、
田んぼのすぐ近くに住む友人を思い当たり、声をかけたら、
「ツルさんがやらないなら、あそこ借りて米づくりに挑戦してみたい!」
とのこと!

この友人は、下田生まれ下田育ち、生粋の下田っ子。
そんな友人が、わが家の田んぼの作業に参加したことがキッカケで、
米づくりに挑戦してみたいと感じるようになったといいます。
なんだか、とてもうれしい話です。
そして、この田んぼのもろもろの条件、良い点だけでなく
田んぼに流れる水の件も含めて、正直にいろいろと説明しました。
そのうえで、引き継いで借りてくれることになったのです。

大賀茂の田んぼ

友人は、自分たちが最初そうであったように南伊豆米店の「稲作支援制度」を使って「大賀茂の田んぼ」で米づくりをします。この制度がなかったらこうして米づくりを始めることはできませんでした。この日は友人と南伊豆米店の中村大軌さんとの顔合わせ。

こうして今年からわが家は「稲梓の田んぼ」を借りて、
あらたな場所で米づくりを始めて、
これまで借りていた「大賀茂の田んぼ」では
友人が米づくりを始めることになったのです。

田んぼの石を取り除く作業

「稲梓の田んぼ」には石がゴロゴロしています。先日はそれを取り除く作業をしました。

毎年3月の初め頃、「大賀茂の田んぼ」では
周辺で田んぼをやっている人たちが集まって、農道の整備をしています。
型枠をつくって、コンクリートを流し込み、
崩れかけた道や舗装されていない箇所を舗装していく。
まさか米づくりをするのに、
道づくりまですることになるとは思っていなかったのですが、
参加するみなさん、本当にパワフルで楽しい方たちで、
もろもろの作業に不慣れな自分にも
とてもやさしく段取りを指示してくれていました。

当初は悲しいくらいに役に立っていなかった気がしますが、
いろいろ段取りを覚え、それなりに動けるようになってきていて、
毎年のこの作業に参加して、
田舎暮らしスキル(?)がワンランク上がったように感じます。

タイミング的に、まだ「大賀茂の田んぼ」のまわりの人たちに、
今年から別の田んぼをやることになりそうだと
伝えていなかったこともあり、今年も道づくりのお誘いが来ました。
本当は、今年はその田んぼを返すのだから
行かなくてもいいのかもしれませんが、
これまで散々お世話になった大賀茂の人たちに
感謝を伝えたかったこともあり、参加することに。

道づくりの様子

「大賀茂の田んぼ」の道づくりの様子。かなり高齢の方もいるのですが、みなさん本当に元気で、そして楽しい方々なのです。

作業の終わりに、別の田んぼに移ることを伝えると、
ここであれだけ頑張ったんだからどこでもうまくやれるよ、
と快く送り出してくれました。

そして、4月の初めには「稲梓の田んぼ」の水路まわりの
草刈りと掃除があるということで、参加することに。
地域性なのか大賀茂の人たちとは少なからず雰囲気の違う感じで、
こちらのみなさんは、どこか穏やかでやさしい雰囲気でした。
大賀茂は田んぼもあるけど海もすぐ近く、稲梓は内陸の中山間地域、
そんな違いなのでしょうか?

水路清掃の様子

「稲梓の田んぼ」水路清掃の様子。

どちらの人たちも、
自分たちがこの土地を守っている、つくっている、という意識か強い。
都会では道を整備したり、
水路を掃除したりというのは税金で賄う事業です。
金払ってるからキレイにやっといて、という感じ。
でも、地方ではそこまでは税金では賄えないのが現実でもあります。
こうした土地の人たちの、要するに「ボランティア」活動で、
土地が保たれているのです。
ということを移住して、米づくりをするようになって知りました。
でも、それがあるから土地への愛情が生まれるのでしょう。