menu
記事のカテゴリー

捨てず、買わずにDIY!
引っ越しの体験から生まれた
わが家のエコな工夫|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.123

Page 3

モノの出口を考え始める

そんなモノと向き合った数か月。
笑えますが、その後しばらくのあいだ
放心状態になってしまいました(1か月くらい立ち直れなかった……)。
夫はいつもと変わらない様子だったので、
きっと私にとって特別苦手な分野だったのかもしれません。

そしてその後、自分のなかでちょっとした変化が起こりました。
以前よりもモノの存在を意識するようになったのです。

「なにをいまさら?」と思う方も多いと思います。
だってもうずっと以前から断捨離やミニマリストが世間を賑わせ
定着しつつあるのですから。

もちろん私にも、そうした知識や意識がなかったわけではありません。
本も読んだし断捨離も何度もしました。
それでも、以前よりは意識するようになったとはいえ、
やはりモノを溜め込んでしまうのです。

稲垣えみ子さん著『寂しい生活』書影

以前この連載でもご紹介した稲垣えみ子さん著『寂しい生活』。これを読んで衝撃を受け、自分の暮らしを見つめ直したはずなのに……。もう一度この本を読もう。

いまの世の中は消費をあおる広告や戦略にあふれ、
年々それが加速しているように思います。
携帯を開けば「今日買うとお得ですよ!」というクーポンが
頻繁に届く(もうアプリ全部消そうかな……)。
Instagramを見たいだけなのに、
なんだかすてきな商品がいちいち誘惑してくる……。

しかも店舗に足を運ぶ必要もなく、たったワンクリックだけで
翌日には届いてしまうのです。
意識的に生きていない限り、その便利さと誘惑に
流されてしまう仕組みがこの社会にはあります。

そうして次第に不要なモノたちが家の中を侵食し始めるのですが、
しまい込んでいると案外気づかないで生活できてしまう。
今回、新居の片づけにしてもわが家の引っ越しにしても、
それらの忘れ去られたモノたちが一気に噴出したわけです。
いわば隠れていた敵が一気に攻めてきた! というぐらい、
私にとっては辛かった。

モノに日々支配され、思考がどんどん鈍くなり、
体力も精神力も奪われる……(自分のせいですが)。
便利っていうのは時に人を不幸にするのですね。
便利っていったい、何だろう……。

『1ヶ月でいらないモノ8割捨てられた私の断捨離』など3冊の書影

すがる思いで読んだ本たち。なとみみわさん著のコミックエッセイ『1ヶ月でいらないモノ8割捨てられた私の断捨離』がすごくおもしろくて、ゲラゲラ笑ってしまいました。

さて、そんな辛い経験をしたおかげで、
いままでにないほどモノを意識するようになったのですが、
たとえば何かモノを買おうというとき、
そのモノの出口を想像するようになりました。

この先どれくらいの期間使うのだろうか。
不要になったら処分するのが大変じゃないだろうか? 
誰かが喜んでもらってくれるだろうか、
それとも何かに再利用できるだろうか、燃やせる? 土に還る? など。
そう考えるようになったことで、
以前よりもモノを買うことを躊躇するようになりました。