Page 2
ある日、隣町の歯医者に出かけると、
入り口で知人女性に偶然出会いました。
私の顔を見た彼女の第一声が、
「なんか……疲れてない? 大丈夫?」と。
その時期ちょっとしたトラブルがあったのと、
やらなきゃならないことが重なって少々しんどい状況でありました。
その諸々のうちのひとつが、田んぼの草取り。
わが家は米づくり4年目になります。
これまで手植え、手刈り、天日干し、さらに無農薬でやってきました
(大型台風上陸のため機械で刈って乾燥した年もありますが)。
ところが、今年は例年どおりにいかない事情があったのです。
以前この連載でもお伝えしたのですが、
わが家は下田に古民家を購入しました。
夫はもともと建築業界で長く仕事をしてきたので、
設計から発注、解体や大工仕事まで自分でやろうと決めました。
けれど、家のリノベーションと米づくりの時期が重なるのは明白。
「米づくりを今年は断念しようか……」と呟く夫に
「そんな人だと思わなかった!」と喝を入れる娘。
それほど、娘にとって米づくりは大事な行事になっていたのです。
娘の言葉に奮い立った夫、米づくりはやろう! と決意。
けれど、一番手間隙のかかる草取りの作業をどうしようか。
農薬を使わないと田んぼに雑草が生えます。
雑草が生えると稲に栄養がいかなくなったり、
害虫のすみかとなり病気が発生したりするので
除去する必要があるのです。
その草取り作業はこれまで、夫がほとんどひとりで
やってくれていました(ときどき私と娘、友人が手伝う程度で)。
けれど、夫が仕事と家のリノベと並行してやるのは無理があります。
ならば私ひとりでできるか? というと、
体力的にそれも厳しいだろうと……。
そこで今年は除草剤を使おうという方向に向いたのですが、
なんだか心の奥がモヤモヤする。
使用するにしても少量だし、体に影響するとも思っていないのですが、
これまで無農薬でやってきたのになんだかもったいなくて
決心できずにいたのです。