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ある日、罠猟免許を持つ知人から、
「仕掛けていた罠にアナグマがかかって、これからさばくけど
一緒にやりませんか? 興味あるって言ってたよね」
と連絡をいただきました。
アナグマをさばく……? と不思議に思う方も多いかもしれません。
実は、周辺の農地にアナグマが頻繁に出没していて、
その生態について調べたばかりでした。
雑食性のアナグマは、畑を荒らすことも多く
駆除対象の害獣となっています。
そして、その肉がかなりおいしいらしく、
ジビエ料理の本場フランスではよく食されている、
最近は東京のジビエ料理店などでも重宝されていると知ったばかり。
駆除する必要があるのなら、その肉をいただくほうがいいのでは?
という気はしていたものの、まさかすぐに
そんな機会がやってくるとは思っていませんでした。

昔から食されている「たぬき汁」に入っているのはアナグマの肉だったりするそうです。
下田に移住してきてからは、
魚介類をまるごといただく機会が増えました。
住んでいる場所もあり、漁師さんと知り合うことが多く、
漁師さんに魚や貝、海老などをいただくことがあるのです。
いただいた魚や貝は、コツを教えてもらったり、
YouTubeの解説動画を参考にして
(本当にいろいろな動画があるものだと感心してしまいます)
なんとかさばいています。
とてもうまくさばけたとは言い難いのですが、
そんな経験を積めば積むほど、自分がいままで
いかに「生きる術」を知らずに
この歳まで過ごしてきたのかを痛感しています。

生きているナマコを丸ごといただいたので、四苦八苦しながらさばいてみました。自分でさばくとひと味違います。
けれど「肉」といえば、
スーパーに並んだものしか目にしたことがありません。
そんな自分が動物をさばく。
いつかは経験したい、できるようになりたい、
そう思っていたことのひとつです。
「肉を食べる」のであれば、そこまで知るべきではないか? と。
何事も経験、何事も挑戦!!
ということで……アナグマをさばくお手伝いをさせていただきました。
結果、初めてのことで終始オロオロしていて、
たいしてお役には立てなかった気がします。
でも、ひと皮むいてひと皮むけた……、という感じです。
そして、経験させていただいただけでもありがたいことなのに、
さばいた肉を半分ほどいただいてしまいました。
その晩には命の尊さを噛みしめながらありがたくいただきました。

その朝まで、この地の野山を駆け巡り、この地の木の実や虫、
そして、畑に入っては果樹や野菜などを食べて
元気に暮らしていたアナグマは、我らの血となり肉となりました。
スーパーで買った肉を食べるときには感じない
「循環」を感じる体験でした。
畑や田んぼを維持するには、つまり人間社会を維持するには、
こうした「害獣駆除」は必要なことでもあります。
駆除したなら、ちゃんといただきたいです。
残酷なことかもしれませんが、
それが向き合うべき現実だとも感じました。

農家にとって獣害は本当に大きな問題です。その原因はさまざまで、獣の居場所になる耕作放棄地が増えたこと、山に人が入らなくなったこと、獣をとる猟師が減ったこと、天敵のオオカミが絶滅したこと、などがあると言われています。