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下田で愛される名物「はんば」とは。
83歳の現役海女さんの漁に密着|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.080

Page 3

気になっていたはんば漁に同行……!

昨年は残念ながら見ることのできなかったはんば漁。
今年はなんとか立ち会いたいと、
口開けの予定が見えたら声をかけてほしいとお願いしていました。

友人の宮原則幸さんは奥様の理恵さんとパン屋を営みながら、
義母である清美さんと漁にも出ていて、
「半漁半パン屋」という、とても珍しい働き方をしています。
いつかこの連載で取材してみたい、というのはさておき。
例年なら1月に口開けする磯海苔ですが、
今年はいろんな状況が重なりなかなか開きませんでした。

そして2月に入ったある日、
「明日はんば採りに行くよー」
と則幸さんから連絡をもらいました。
昨年から気になっていたはんば漁、
1年越しで見せていただけることになったのです。

岩場を歩いて漁に出かける

漁に向かう宮原則幸さん

向かった先は、水仙祭りなどの観光名所としても有名な
爪木崎(つめきざき)。
そのシンボルでもある灯台下の海が宮原家の漁場です。
清美さんは御年83歳、白波の立つ海の中をスイスイと自由に動き回り、
さらに岩の上をひょいひょいと渡っていく。
その足取りに置いていかれまいと、私も必死にあとを追います。

さらに岩場を歩く

腰まで海につかる

「柱状節理」が一帯に広がっている「俵磯」

爪木崎は水仙のほかにも、「柱状節理」が一帯に広がっている「俵磯」も観光名所となっています。奥に見えるゴツゴツとした縦長の柱が柱状節理で、マグマや溶岩が冷え固まるときに体積が縮むためにできるもの。多くの観光客が訪れる一方、地元の方はこうして漁を営んでいます。

カゴの中のはんば

2月といえばまだ寒さが厳しい頃。
ウェットスーツに身を包んでいるとはいえ、
海風を受けながら長時間海水に浸かるのだから体に堪えます。
およそ4時間ほどの漁を終えて海から上がってきた清美さん、
「今日はけっこうとれたよ~」と満足した様子です。

岩場で休憩

漁を終えたあと必ず食べるというのが小分けにされた小さい羊羹。「海から上がったあとのこれがおいしいんだよ~」と則幸さん。疲れた体に糖分が染み渡ります。

漁に使う道具たち

ほっとひと息ついたところで、ここからがまたひと苦労。
「さ、行こうか」ということで、
軽トラを停めてある場所まで重たい籠をかついで行きます。
しかも、この日の漁場から車までは道なき道、
いや、道なき崖? をロープをつたって登っていく。

私もカメラをかばいながらロープを握り締めて登ったのですが、
足元はずりずり滑り、さらにハーハー息が切れて途中でストップ……。
そこを清美さんが木の枝を払いながら勇しく登っていくのです、
背には重たい籠を背負って……すごい……。

軽トラに籠を下ろすと「は~」と清美さん。
ようやくここまででひと段落。

大きなカゴを背負った清美さん

急勾配をロープをたよりに登る

まだまだ歩きます