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下田で愛される名物「はんば」とは。
83歳の現役海女さんの漁に密着|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.080

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下田の人たちに愛される「はんば」

田で暮らしていると、都会とは違う楽しみが
いろいろとあるのですが、そのひとつが直売所の存在です。

東京では野菜を買うのもスーパーや駅ビルでしたが、
下田ではよく直売所に行きます。
買いものはもちろんですが、ちょっと疲れたときや
気分転換したいときも直売所へ出かけます。
ずらりと並んだ生命感のある野菜を見ているだけで、
なんだかウキウキして元気になるのです。

直売所〈旬の里〉

わが家から車で15分ほどの場所にある〈旬の里〉という直売所。こうした無農薬のコーナーも設けられています。

店内に並ぶ柑橘類

柑橘天国、伊豆下田。どれにしようか迷ってしまうほど、柑橘類が充実しています。

直売所には野菜や果物のほか、ジャムなどの加工品や
豆や海藻などの乾物も販売されています。
移住して間もない頃、海藻類のコーナーで
「はんば」という商品を見かけました。

見た目は干しわかめがギュッと詰まって板状になっているような感じ。
これはなんだろうと手にとってみたものの、
どうやって食べるのかわからないうえに、
お値段もひと袋2千円前後とお高く、購入にはいたりませんでした。

その後下田で暮らしていくうちに、
このはんばが地元の人にとても好まれているものだと知りました。
居酒屋に行くと「これおいしいんだよ~」と
シメに「はんばご飯」を出してくれたり、
直売所でも見かけたらすぐに購入しておかないと
売り切れてしまうのです。

〈賀楽太〉の店主、土屋佳代子さん

わが家が大好きな居酒屋〈賀楽太〉の店主、土屋佳代子さん。佳代子さんがつくる地物をふんだんに使った四季折々のお惣菜は、観光客にも地元民にも愛されています。手にははんばご飯。

はんばご飯

賀楽太でいただいたはんばご飯は、鰹節も一緒にのせて醤油をたらしたもの。香りがよい~。

昨年、友人がやっているパン屋へ出かけたときのこと。
お店のかたわらで、たまたま友人のお母さんが
はんばの出荷作業をしていました。
お母さんは現役の海女さんで(前回、夫が書いた記事でも
ご紹介しています)、採ってきたはんばのゴミを取り除いたり、
枠に流し入れたりしていたのです。

深い緑色をしたピチピチのはんばを見て、
「わ~、これが直売所で見たはんばの原型か!」
とうれしくなって写真を撮らせてもらいました。

そして、海ではんばの漁をしているところも
見てみたいという興味がふつふつと湧いてきたのです。
けれどその時期にはもう収穫期も終盤で、タイミングが合わず、
昨年は叶いませんでした。

宮原清美さん

宮原清美さん、御年83歳の現役海女さんです。

海藻類はほんの限られた時期にしか収穫できません。
例年だと1月にはんばなどの磯海苔の漁が解禁になり、
その後わかめやひじき、そして天草と続きます。

漁が解禁になることを「口開け」というのですが、
その日程は各地域の漁協が協議して決めます。
海藻の生育具合や潮の満ち引き、
さらに気象状況にも大きく左右されるので、
毎年決まった時期に漁ができるわけではないのです。
そうしたことも、下田に住むまでまったく知らずにいました。

はんばの天日干しの準備中

はんばを運ぶ宮原清美さん

奥に見えるお店が、友人がご夫妻が営んでいるパン屋〈やさいとげんこつパンの店 そとにわ〉。

宮原則幸さん、理恵さんご夫妻

開店と同時にお客さんが押し寄せる人気のパン屋さんなので、早い時間に行くのがおすすめ。事前にパンを予約しておくこともできます。友人ご夫婦の宮原則幸さん、理恵さん。

〈やさいとげんこつパンの店 そとにわ〉のパン各種

やさしくてどこかホッとする味わいのパンは、子どもたちにも大人気。パン各種110円~。ギフトボックスにすることもできます。