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帰宅してからちょっと昼寝でもするのかと思いきや、
すぐさま作業に取りかかります。
収穫したはんばは時間が経つと乾燥してしまうので、
早く処理しないと状態が悪くなってしまうのだそう。
お昼ごはんも後回しで作業開始です。
はんばは岩に生えている海藻で、それを引っ掻いて収穫しています。
そのため根元に石が付着しているので、
それを糸切りバサミでひとつずつ切り落とす必要があるのです。
さらに、色が悪かったり傷んでいる部分も取り除いていきます。
この作業を私も一緒にやらせていただいたのですが、
2時間弱お手伝いしてできた量ははほんの少し。
やってもやっても終わりが見えない……、
時間も手間も本当にかかるのだと実感しました。
その後ザルで洗っていくのですが、これを3回繰り返します。
そうしないと岩やゴミをなかなか取り除けないんだそうです。
寒いなかでの水仕事、見ているこちらまで体の芯が冷えてしまう。
それが終わると今度は枠に流し入れて形をつくり、
天日で干していきます。
およそ2日間干したあと、再度ゴミなどを確認して梱包、
ようやく商品として出荷されます。
「海藻の中ではんばが一番大変、手間が本当にかかるんだよね」
と則幸さん。
私がおじゃましたのは、ほんの数日のほんの数時間。
けれども、漁師さんや海女さんたちはこうした作業を日々繰り返し、
そうして私たちに食べ物を運んできてくれているのです。
移住して間もない頃、直売所で手にしたはんばを
「高い」と思った自分は気づいていませんでした。
はんばの裏にはこうした舞台があり、
すべての食べものにはその舞台裏があるということに。
下田で暮らすようになって、漁師さんや海女さんを含め
生産者さんとの距離がとても近くなりました。
そうした環境は、いままで気づいていなかったことを
たくさん教えてくれます。
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やさいとげんこつパンの店 そとにわ