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下田で愛される名物「はんば」とは。
83歳の現役海女さんの漁に密着|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.080

Page 4

おいしいはんばができるまで

帰宅してからちょっと昼寝でもするのかと思いきや、
すぐさま作業に取りかかります。
収穫したはんばは時間が経つと乾燥してしまうので、
早く処理しないと状態が悪くなってしまうのだそう。
お昼ごはんも後回しで作業開始です。

根元の石を切り落とす

ウエットスーツのまま作業

はんばは岩に生えている海藻で、それを引っ掻いて収穫しています。
そのため根元に石が付着しているので、
それを糸切りバサミでひとつずつ切り落とす必要があるのです。

さらに、色が悪かったり傷んでいる部分も取り除いていきます。
この作業を私も一緒にやらせていただいたのですが、
2時間弱お手伝いしてできた量ははほんの少し。
やってもやっても終わりが見えない……、
時間も手間も本当にかかるのだと実感しました。

はさみで不要な石を切り落とす

その後ザルで洗っていくのですが、これを3回繰り返します。
そうしないと岩やゴミをなかなか取り除けないんだそうです。
寒いなかでの水仕事、見ているこちらまで体の芯が冷えてしまう。

ザルで洗っていく

丁寧に手で洗う

それが終わると今度は枠に流し入れて形をつくり、
天日で干していきます。
およそ2日間干したあと、再度ゴミなどを確認して梱包、
ようやく商品として出荷されます。
「海藻の中ではんばが一番大変、手間が本当にかかるんだよね」
と則幸さん。

枠に流し入れて形をつくる

いよいよ天日干し

私がおじゃましたのは、ほんの数日のほんの数時間。
けれども、漁師さんや海女さんたちはこうした作業を日々繰り返し、
そうして私たちに食べ物を運んできてくれているのです。

移住して間もない頃、直売所で手にしたはんばを
「高い」と思った自分は気づいていませんでした。
はんばの裏にはこうした舞台があり、
すべての食べものにはその舞台裏があるということに。

下田で暮らすようになって、漁師さんや海女さんを含め
生産者さんとの距離がとても近くなりました。
そうした環境は、いままで気づいていなかったことを
たくさん教えてくれます。

きれいに袋詰めされたはんば

干し上がったばかりのはんばを則幸さんが届けてくれました。手間ひまかかった宮原家のはんば、ようやく完成です。

我が家のはんばご飯

少し炙ってご飯にのせ、家族3人でいただきました。あ~うんまい。

カゴを背負った宮原清美さん

information

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やさいとげんこつパンの店 そとにわ 

住所:静岡県下田市須崎114-6

TEL:0558-22-9458

営業時間:金・土・日曜のみ 9:30~

Web:https://www.sotoniwa.com/ Facebookページ

文 津留崎徹花