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2019年も残すところあとわずか、という昨年の暮れ。
仕事も片づいていないうえに、クリスマスやら正月準備やら
やることがいっぱいでプチパニック状態に……。
落ち着かない様子の私を、「またいつものことか」と
夫と娘が一定の距離を保ちながら静観する。
すべては自分の無計画さが原因なのだと、
そんな単純なことにようやく気づく。
2020年は計画的に生きようと心に誓ったのでした。
そんなドタバタな年末に、
地元のスーパーへ買い物に出かけたときのことです。
店に入るとすぐ目に飛び込んできたのは、ずらりと陳列された正月飾り。
それを見たら、なんだかいままで湧いたことのない違和感を感じました。
「ん? なんだろうこの感覚は……」と、
自分でも不思議な気持ちになり、その正月飾りをじっと見つめてみる。
そうして浮かんできたのは、自分でも意識していなかった
東京と下田という環境の違いです。
東京に住んでいたときには、正月飾りといえば
量販店で買うのが当たり前でした。
もちろんこだわりのある方は手づくりのものを
デパートやネットで購入するのでしょうが、
私が日常よく目にしていたのは工場で生産されたものです。
けれど、下田でよく買い物をしている直売所には、
年末になると地元の方がつくった正月飾りがずらりと並びます。
伊豆で採れる「ホンダワラ」という海藻をあしらったものも
あったりして、それぞれがとても個性的です。
そうしたものに触れているうちに、
スーパーで整列している正月飾りが
なんだか不自然に思えてしまったのです。