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機械で刈った経験がないので、
どんな作業の流れになるのかさっぱりわからない状況でした。
取り急ぎ、一緒に稲刈りをする予定だった友人たちに
「今日、機械で刈ってしまいます」という旨を伝えました。
大軌くんからの
「手前の稲だけは手で刈ってもらいたいんだ」という電話を受け、
とりあえず稲刈り用の服装と装備で田んぼへと向かいました。
急な展開にもかかわらず、都合のついた友人たちが
手伝いにきてくれました。
田んぼの手前から機械が入れるよう、
みんなで一緒に稲を刈っていきます。
「ザクッザクッ!」という小気味のよい音と手応え、
これが何とも心地よいのです。
「このままみんなで全部手刈りしたいね~、稲架かけしたいね~」
なんて言いながらも、少しだけ手刈りを味わえたことが
とてもうれしかったのです。
30分ほど作業すると、田んぼの手前2メートルくらいが
刈り上がりました。
これ、夫婦ふたりだけでやっていたらかなり時間がかかったと思う……。
友人たちの助けが本当にありがたかった~。
さて、ここからはいよいよ機械の出番。
稲を刈り、刈った稲を脱穀(籾の状態にする)する
コンバインという機械です。
大軌くんが真剣な眼差しで作業を進めていきます。
「ゴ~~~」という激しい音とともに、
ジャンジャン刈られていくわが家の稲たち。
なんとも複雑な思いがわき上がってきます。
あ~、みんなで手刈りできなかったんだ……
これで稲刈りが終わってしまうのか……という残念な思い。
と同時に、米を収穫できるという喜びも入り交じる。
そうしてじんわりしている間にも、
ものすごいスピードで刈り上がっていく田んぼ。
ちょっと目を離してしまったらもうすべてが終わってしまいそうで、
最後までじっと田んぼを見つめていました。
昨年は大人11人、子ども9人で行った稲刈り。
朝9時に集合して、終わったのはちょうど
日が暮れ始めた夕方17時頃でした。
そして機械による稲刈りは、ほんの1時間足らずで終わってしまった。
刈られた稲はコンバインの内部で茎と米の部分に分けられます(脱穀)。
コンバインに貯められた米は軽トラに移送され、
南伊豆米店の倉庫に運ばれて機械で乾燥。
翌日には乾いてしまうので、籾摺りをすれば
すぐに新米が食べられてしまうのです。
手作業と機械のあまりのスピード感の違いに、
夫も私も何が起きているのかわからない、というような感覚でした。
ある日突然、娘に「嫁にいきます!」と言われて
家を出て行かれるような感覚というのでしょうか。
ちょっとした喪失感……。