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実家に放置したままだった段ボールを片づけていると、
1冊のノートが出てきました。
「書き込み式・夢ノート」なるもの。
あ~そういえば30代の頃、これにいろいろ書き込んだ記憶が……。
そもそも自分が何をしたいのか、
どう生きたいのか迷い悩んでいたのです。
パラパラめくってみると、「わたしの夢リスト」という項目に
ずらずらと箇条書きが並んでいる。
当時はまだ会社員だったので
「フリーランスになる」という項目をはじめ、
「文章を書く」「田舎で暮らす」など、
およそ30項目が書き記されています。
目を通してみると、そのうちの大部分が
実現していることに驚いてしまいました。
そして、そのうちのひとつに
「写真展をやりたい」という一文があったのですが、
実はそれも最近ごく自然な流れで実現したのです。
写真展をやることになったきっかけは、
女性誌『クロワッサン』の撮影でした。
クロワッサンの編集長は私が会社員だったときの同期で、
公私ともにつき合いのある友人です。
彼女から「海藻」をテーマに特集を組むのだけれど、
下田で取材できるような内容はないかと問い合わせがありました。
「もちろん、下田は海藻天国ですよ!」と返答。
そうして、下田の海藻を特集した記事が組まれることになったのです。
下田が海藻天国だと答えたのは、
この2年間住んでみて感じたことでした。
海水浴に出かけると天草の出荷作業の場面に出会ったり、
そこらじゅうにワカメやひじきが干してあったり。
東京から日帰りできるほどの距離なのに、
まったく違う暮らしが広がっているということに驚くほどでした。
そうした場面に出会ったときには写真も撮影していて、
そうして撮りためていた写真も今回の記事に掲載してもらいました。
普段はカメラマンとして雑誌に関わっていますが、
今回はページ構成や取材先の選択、文章も一部執筆させてもらいました。
これは私にとって初めてのことで、下田に移住しなかったら
経験できなかったと思うと、なんだか不思議な気持ちです。
クロワッサンが発売された当日、
ドキドキしながら下田の書店をのぞいてみました。
すると、店員さんがつくってくれたポップを発見!
カウンターで
「このページを撮影したカメラマンなのですが、
このポップはどなたがつくってくださったのですか?」と聞くと、
「私です」と恥ずかしそうに答える店員さん。
クロワッサンに下田の記事が載っているのをたまたま見つけ、
自主的にポップをつくってくれたのだそうです。
「下田でこんなふうに海藻を採っているなんて、
いままで知りませんでした」という店員さん。
そんな感想も手づくりのポップも、とってもうれしかったのです。