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「夢リスト」が少しずつ実現。
伊豆に移住したカメラマンが叶えたこと|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.066

Page 2

夢のひとつ、写真展を開くことに

家に放置したままだった段ボールを片づけていると、
1冊のノートが出てきました。
「書き込み式・夢ノート」なるもの。
あ~そういえば30代の頃、これにいろいろ書き込んだ記憶が……。
そもそも自分が何をしたいのか、
どう生きたいのか迷い悩んでいたのです。

パラパラめくってみると、「わたしの夢リスト」という項目に
ずらずらと箇条書きが並んでいる。
当時はまだ会社員だったので
「フリーランスになる」という項目をはじめ、
「文章を書く」「田舎で暮らす」など、
およそ30項目が書き記されています。

目を通してみると、そのうちの大部分が
実現していることに驚いてしまいました。
そして、そのうちのひとつに
「写真展をやりたい」という一文があったのですが、
実はそれも最近ごく自然な流れで実現したのです。

写真展の案内看板

写真展をやることになったきっかけは、
女性誌『クロワッサン』の撮影でした。
クロワッサンの編集長は私が会社員だったときの同期で、
公私ともにつき合いのある友人です。

彼女から「海藻」をテーマに特集を組むのだけれど、
下田で取材できるような内容はないかと問い合わせがありました。
「もちろん、下田は海藻天国ですよ!」と返答。
そうして、下田の海藻を特集した記事が組まれることになったのです。

海女さんたちが天草の出荷作業中

2年前、たまたま友人と海水浴に出かけたときに出会った光景。小屋の中で海女さんたちが天草の出荷作業をしていました。急遽写真を撮らせてもらったときの一枚。

下田が海藻天国だと答えたのは、
この2年間住んでみて感じたことでした。
海水浴に出かけると天草の出荷作業の場面に出会ったり、
そこらじゅうにワカメやひじきが干してあったり。

東京から日帰りできるほどの距離なのに、
まったく違う暮らしが広がっているということに驚くほどでした。
そうした場面に出会ったときには写真も撮影していて、
そうして撮りためていた写真も今回の記事に掲載してもらいました。

海岸沿いでワカメが干されている

近所を自転車で走るとこの光景。漁業権を持っている方が多いので、ワカメのシーズンになるとこうしてみなさん採ってきたものを軒先で吊るしています。

普段はカメラマンとして雑誌に関わっていますが、
今回はページ構成や取材先の選択、文章も一部執筆させてもらいました。
これは私にとって初めてのことで、下田に移住しなかったら
経験できなかったと思うと、なんだか不思議な気持ちです。

雑誌『クロワッサン』の誌面

クロワッサンが発売された当日、
ドキドキしながら下田の書店をのぞいてみました。
すると、店員さんがつくってくれたポップを発見! 

カウンターで
「このページを撮影したカメラマンなのですが、
このポップはどなたがつくってくださったのですか?」と聞くと、
「私です」と恥ずかしそうに答える店員さん。
クロワッサンに下田の記事が載っているのをたまたま見つけ、
自主的にポップをつくってくれたのだそうです。

「下田でこんなふうに海藻を採っているなんて、
いままで知りませんでした」という店員さん。
そんな感想も手づくりのポップも、とってもうれしかったのです。

書店で平積みされていた『クロワッサン』

下田のまちなかにある〈村上書店本店〉でこのように陳列してくだいました。発売数日後に、下田の書店やコンビニではクロワッサンが売り切れるという事態に。下田の方の地元愛を感じました。