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また、特に紹介されていなくても、
ジオを感じる地形に出会うことはよくあります。
例えばこちら。
こちらは僕が仕事をしている〈高橋養蜂〉の農園です。
画面中央の岩をご覧ください。尋常でない迫力なのです。
見る角度によってはモアイ像っぽく見えることもあったりで、
なんとも不思議なパワーを感じます。
こちらは自宅近くの外浦海岸。
まるで南国というような白い砂浜も
伊豆半島がはるか南からやってきたことを考えると
なんだか納得してしまいます。
また、一見ジオとは関係ないように見える下田の市街地、
古い建物の残るまち並み「ペリーロード」周辺も
実はジオサイトでもあるのです。
こちらのまち並みを彩る建物の外壁には多くの石が使われています。
この石は火山から流れ出した溶岩や噴出した火山灰からできた
「伊豆石」といい、加工性、耐火性に優れていて、
古くから伊豆各地のまち並みをつくってきた建材でした。
また、江戸時代初期、江戸城築城の際には江戸まで船で大量に運ばれて、
石垣の多くを伊豆石でつくったというほど
重宝された建材だったそうです。
また、今回、伊豆半島の成り立ちについて調べていくうちに
知ったことがあります。
みなさんにもおなじみの日本を代表するふたつのものが、
このプレートの動きと大きな関係があるそうなのです。
話は少しそれますが紹介します。
ひとつ目は伊豆半島の付け根にある日本を代表する山、富士山。
伊豆衝突によって地盤が隆起し、丹沢山地などの山々ができ、
その後、たび重なる火山活動により
美しい富士山ができたといわれています。
この雄大な富士も、伊豆半島と日本列島の衝突の賜物といえます。
プレートの動きや火山というと災害と結びつく避けたいイメージですが、
その火山の恩恵が日本の景色をつくっている面があるということを
感じさせてくれます(景色とは違いますが、
温泉に恵まれているというのも要するに火山活動が活発だから。
日本と火山は切っても切れないのか……)。
もうひとつ。こちらは少し意外です。
もともと本州に分布した桜と伊豆の固有種の桜が、
衝突によって地続きとなり交配、そして誕生したのが、
いまや日本中で愛される桜、ソメイヨシノなのです!
……いや、そうらしいのです!(これは一説で、ほかにも諸説あり。
でも、なんかワクワクしてしまいます)
東京で暮らしていたときは暮らしのなかで
「地球」を感じることはあまりありませんでした。
地球より「目の前の仕事の締め切り」といった
短いスパンのことにばかり一喜一憂していました。
そして、ゴールデンウィークのような連休となると
地方を旅しては自然に触れて、
「大きな時間の流れ」を感じて癒やされていたように思います。
下田で暮らし始めてからは、地球を感じることが身近になって、
感じる時間のスパンが長くなった気がします。
伊豆半島ジオパークでの「地球」を感じる暮らし、なかなかよいですよ。