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下田の干物がトートバッグに。
〈Himono bag〉の販売で生まれた、
新たなつながり。|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.058

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おいしい干物がかわいく見えてきた

田に移住してからというもの、
パンの販売や味噌仕込みのワークショプなど、
カメラマン以外のことをいろいろと経験しています。
そして最近またひとつ新しいことを始めました。
〈Himono bag〉という商品の販売です。

どんなものかというと、鯵の干物を撮影して転写シートに起こし、
それをプレス加工したバッグ。
なぜそうした商品をつくることになったのか、
それは下田に移住したことがきっかけでした。

下田の海

東京に住んでいたときには、ほとんど関心がなかった干物。
けれど、下田で出会った干物があまりにおいしくて、
「あ~、干物食べたい……」なんてつぶやいてしまうほど
病みつきになってしまったのです。

ある日いつものように馴染みのお店へ出かけると、
きれいな目をした鯵がずらりと並んでいました。
それを見ていたらふと頭に浮かんできたのです。
「これ、バッグにしたらかわいいんじゃないか……」と。

下田で出会った干物

とりあえず1枚、自宅で干物バッグを試作してみました。
でき上がったバッグを持ち歩いていると、
不思議がられながらも「かわいい!」となかなかの評判。
フランスから遊びにきた友人も、
「なにこれ?? フランスでうけるかもしれないよ!」と。
周りのリアクションが想像以上によかったので、
正式に商品化することを考えるようになりました。

もちろん「こんなバッグ買う人いるの?」という声もありましたが、
自分の直感ではいいイメージしか湧いてこない。
ここで迷いが生じていたらやめていたと思うのですが、
不思議なことに少しの迷いも感じなかったのです。
ごく自然に動き始めた感覚でした。

まずは土台となる布バッグを探してみたのですが、
イメージに合うものがどうしても見つからない。
自分のなかにあったのは漂白されたような純白で
スムースな風合いの生地に、干物がぽつんと佇むイメージ。

アパレル業界の友人にも相談したのですがやはり見つからず、
一から縫うしかないとのこと。
既製品のバッグを使うのと比べると倍以上の値段になってしまいますが、
どうしてもそこにはこだわりたかったので
縫製業者に発注することにしました。

干物バッグ!白と黄色

最初は白だけでつくる予定でしたが、試作した黄色も評判がよかったので、同じ生地で制作することにしました。

土台となるバッグが決まり、次はバッグの肝ともいえる
「鯵の干物」の撮影です。
今回撮影させていただいたのは、外浦海岸にある〈万宝〉さんの干物。
なぜ万宝さんにお願いしたのかというと、
「こんなすてきなお店が下田にあるんだよー!」
とみんなに知ってもらいたいほど魅力的なお店だからです。

平井さんご家族

親子2代にわたりお店を切り盛りしている平井さんご家族。右側から平井恭一さん、国子さん、亜沙美さん、勇一さん。