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買い物も病院もなんとかなりそう。友人家族も温かく見守ってくれている。
あとは、同年代の茶飲みともだちでもできたら最高なんだけどな~
と考えていました。
下田市役所に問い合わせをして比較的高齢の方が集まる
サークルや教室がないか聞いてみました。
すると、絵手紙教室があるということで、まずは体験で行ってみることに。
みなさん和気あいあいとして朗らかで、
「これはいいんじゃないか?」と期待したのですが、
竹子さんは以前から腱鞘炎で字を書くのがなかなか難しいとのことで、
今回はひとまず入会を見合わせることに。
絵手紙教室にて。先生もとても親切で、手取り足取り教えてくださいました。
絵手紙教室への参加を断念したあと、
「そのうち自然と友だちもできるんじゃないか?」とか、
「私たちがいるんだから、無理しなくてもいいんじゃない?」
などと夫と話しました。そうして、しばらくそのまま様子を見守ることに。
そして、その後、転機が訪れたのです。
昨年の暮れ、ずっと習ってみたかった正月飾りのつくり方を、
ある地元の方に教えていただきました(vol.52参照)。
その教えてくださった方が、
たまたま私たちが住んでいる地区の老人会の会長だったのです。
実は、老人会があるというのは友人から聞いていたのですが、
地元の会に移住者がいきなり飛び込むというのは
なかなかハードルが高いものです。
けれど会長と知り合い、「ぜひぜひ遊びにいらっしゃい!」と
誘っていただけたのならとっても入りやすいというもの。
せっかくのご縁だからということで、私から竹子さんを勧誘してみました。
そうして、老人会が月に2回開催している
輪投げ大会に参加してみたのです。
実は竹子さん、東京でも
地域の高齢者が集まる輪投げ大会に参加していました。
慣れた輪投げであれば馴染めるのではないか? ということで、
期待をしながら私も同行。ついでに私も輪投げをさせてもらうという
楽しい時間を過ごし、終わったあとに感想を聞いてみると、
「輪投げの支柱が長くて入りづらい」と……。
「勝つ気満々じゃないですか!」と笑ってしまいましたが、
その後もこの老人会の踊りの会や新年会に参加したりと、
少しずつ自分でも出かけるようになりました。
写真左の方が会長の鈴木道明さん。老人会の会員は現在48名。実は、この日の参加者では83歳の竹子さんが最年少。みなさん、とっても朗らかで溌剌としていています。
しかしいま考えてみても
83歳という年齢でよく移住に踏み切ったと思います。
高齢になるとちょっとした環境の変化でもいろんなことが滞ってしまう。
例えばスーパーの陳列が変わるだけでも買い物が面倒になったり。
けれど、竹子さんは住む土地を変えるという大きな選択をしました。
そうして、いろんな変化をひとつずつ解決しながら前に進んでいます。
いや、身内ながら本当に立派だと思うのです。
お互いに距離が急激に近くなったことで、
少々の小競り合いも実際増えました。
けれど、一緒にお酒を飲みながら食卓を一緒に囲んだり、
娘のピアノをうれしそうに聞いていたり、
充実した時間が増えたことは確かです。
竹子さんが移住してきたことによって、
わが家は核家族ではなくなりました。
それは、私たちにとっても娘にとっても大きな安心感をもたらしています。
これからまた不安なこともたくさん出てくると思いますが、
またひとつずつ解決していけばいい。仲良く喧嘩しながらみんなで進もう。
昨年のクリスマスは家族4人でホームパーティー。「今日はおばあちゃん来る?」と、娘もおばあちゃんと一緒に過ごせるのを毎晩楽しみにしています。ピース。