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いよいよ作業に移ります。まずは「塩きり」という作業。
塩きりというのは塩と糀をよく混ぜ合わせる工程です。
これをしっかりやることも、おいしい味噌ができる秘訣だといいます。
「手がさらさらになる~、気持ちいい~」なんて感想が漏れていました。
次に茹でた大豆をつぶしていきます。
今回は子どもたちがやりやすいように、ビニール袋を使いました。
ひとりがやり始めると、「私も私も!」と
みんながせっせと手伝い始めます。
しばらくするといきなりテーブルにのぼり出し、
足で踏み始めた子どもたち。
その姿があまりにもかわいくて、大人も子どもも一緒に大笑い。
大豆をつぶしてひとしきり盛り上がった子どもたちはここで退散。
また遊び場へ戻っていったので、
ここからは大人がしっかりと仕上げていきます。
つぶした大豆と塩きりした糀を混ぜ合わせていくのですが、
これがなかなか力のいる作業なのです。
無言になりながら黙々と手を動かし続けます。
こうして大人が集中できるのも、
子どもが飽きずに遊べるこの環境ならでは。
子どもたちが安心してのびのびと遊べる場所ってなかなかないですよね。
大豆と糀がよく混ざり合ったら、団子状にして容器に詰めていきます。
詰め終わったら容器についた汚れを落とし、
カビを予防するための塩を少量ほどこしてラップや和紙などで密閉。
重石をして保存し、10か月くらいするとおいしい味噌ができ上がります。
東京から参加してくれた男の子が、
帰り道にこんなことを話してくれたそうです。
「いままでの旅行で、一番楽しかった!」と。
もちろん味噌仕込み会のことだけではないと思いますが、
その断片に関われたことは私にとって貴重な経験でした。
最近、ふとこんなことを思い出しました。
初めてバーベキューガーデンを訪ねたときのこと。
その日は満月に近く、漆黒の海に反射した月がそれはそれは幻想的で。
その光景を夫と眺めながら、私は半ば興奮状態でした。
「いつか自分たちもこんな場所をつくってみたい」そう思ったのです。
今回の会を開催してみて、その「いつか」というイメージが
少し具体的になったうように思います。
人が集まり、暮らしのひとコマを一緒に楽しめるような場所を、
自分たちもつくれないだろうか。
そんなことを夫と話しています。
まだまだぼんやりとですが、カメラマンという仕事を軸にしながら、
ときどきパン屋を開店したり、みんなで味噌を仕込んだり、
子ども向けの料理教室をやったり。
同じ施設内で夫がゲストハウスをやるとか。
そんな、みんなの基地となるような場所、
「暮らし研究所」なんていうのはどうかな。
今回の味噌仕込み会を機に、そんなことを考え始めています。