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脱穀を終えた翌日。
籾の乾燥具合もちょうどよいということで、
大軌さんの作業場で籾摺りと精米をしてもらいました。
籾摺りというのは籾殻を外す工程のこと。
籾殻を外したものがいわゆる玄米で、それを精米すると白米となります。
籾を脱ぎ去った玄米はつやつやときらめいて見え、
どこか女性的な艶やかさすら感じさせます。
「ほら触ってみて、すっごくいいお米だよ、ね!」
と大軌さんも若干興奮気味。
私も触ってみると少しひんやりとした滑らかな柔肌。
「だいちゃん、いいね、なんか、すごくいいね」
なんてやり取りをしながら、一部のお米を籾摺りして玄米へ
(すぐに食べない分は、籾殻のまま保存します)。
そして、玄米の一部を精米して白米にしてもらいました。
これでわが家にようやく連れて帰れるんだ。
これは、出産後に娘を自宅に連れて帰ったときのような晴れやかな気持ち。
お米相手にこんな感情がわくなんて、
米づくりを経験するまで知りませんでした。
その晩、下田に遊びにきていた姉家族と、
とれたて削りたての新米をいただきました。
こんなに丁寧にお米を研いだのも、
こんなにお米の匂いをくんくん嗅いだのも初めて。
そうして炊きあがったご飯、口に入れると甘い香りが広がります。
おいしいかどうかってことよりも、
「よくここまで無事に育ったくれたね」という気持ちが先にわいてくる。
そして、おいしい。
自分たちの食べる米を自分たちでつくってみたい、
そう考えて始めた米づくりでした。
実際にやってみたら、思ってもいなかった感情がわいてきたり、
想像もしていなかったような人とのつながりを経験しました。
「来年もやるの?」とよく聞かれますが、もちろんやります。
もう1年、もう2年、いつまで続けていけるかわかりません。
けれど、こうして家族や仲間と一緒に
できるだけこの米づくりを続けていけたらいいな。
週末、田んぼを手伝ってくれた仲間たちと収穫を祝いました。
来年の米づくりもまた、楽しみです。