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ところが、ある日。前日、風が強かったので
ちょっと気になって仕事帰りに田んぼによると……
あれ? なんか稲の間から育ってきてる。
雑草残ってたか~。まあ、少しくらいしょうがないかね。
なんて、余裕こいてました。
そして、次に行ったのがその翌々日。
自分の目を疑うことになったのです。
あれ……?
田んぼ全面に元気よく育ってる
稲より背の高いこの方々はどなたでしょう……。
私はあなたを育てた覚えはありません……。
でも、育ててしまったようです。
抜けきれてなかったヒエを……。
この時期、田んぼをやってる人たちのインスタ投稿で、
「ひえ~」というダジャレとともに
ヒエが伸びた様子の投稿が多く出ていました。
ダジャレは言いたいけどウチはあれだけ頑張ったから大丈夫~、
とまるで他人事のように見ていたのですが、まさに……
「ひえ~~~~っ!!!!!」な状態でした。
いやしかし……ほとんど抜いたと思っていたのにこんなに残っていたとは、
しかもこうなるまで気づかないほど稲になりきるとは……驚きました。
自分の詰めの甘さを反省してしまいます。
でも振り返っていてもしょうがない。できることをしなければ。
前述したように、この時期は田んぼには入らないほうがよいのですが、
そうも言っていられません。
このヒエをそのままにしていたら田んぼに種を落としてしまい、
また来年、「ひえ~~~~っ」になってしまう。
収穫した米にもヒエが混ざってしまうそうです。
久々に田んぼに入ります。
そしてヒエを抜き始めましたが……、すごい密度で生えています。
それも稲にぴったりと添うようにとても元気よく。
ヒエとの知恵比べ「完敗」という感じです。
根っこも残したくないくらいの気持ちで、稲にぴったり添ってる
ヒエを引っこ抜くと、稲の根っこと絡まっているのでしょう。
稲がふらふらになってしまいました。
これはまずい。抜くのはあきらめて刈ることにしました。
稲刈りを前にしてヒエ刈りです。
まさかこんな作業が待っているとは……。
刈り始めてよくわかるのが、ヒエが元気よく育ってしまった近くの稲は
明らかに元気がないということ。
稲は人が手をかけてやっと育つ、いわば箱入り娘。
対するヒエは野生そのもの。
巧みな生存戦略と生命力に驚きました。
僕がしっかりと稲を守ってあげられなかったばかりに、
ずいぶん肩身の狭い思いをさせてしまっていたようです。
自分の詰めの甘さへの反省の思いを込めて、
この田んぼはわがものだと言わんばかりのヒエをひたすら刈っていきます。
ありがたいことに、田植えを手伝ってくれた友人や
稲刈り参加予定の友人も駆けつけてくれました。
こうして稲刈り前にヒエ刈り完了(9月に2度あった3連休は
ヒエ刈りに始まりヒエ刈りに終わった……)。
見逃しているのもあるでしょうし、
作業の後半はヒエの穂もだいぶ育ってきて
刈り取って運びだすときにぽろぽろ種が落ちてしまいました。
でも、放置しておくことに比べたら
田んぼに残る種の数は劇的に違うはずです。
10月中旬、いよいよ稲刈りです。
今年は例年に比べるとイノシシの被害も多いと聞きます。
台風の雨風もとても心配です。
自然のことなのでどうなるかはわかりませんが、
やれることをやるしかないのでしょう。
田植えはイベントなどで経験したことがあったのですが、
稲刈りはまったくの初体験です。
こうして手をかけて育った稲を収穫して、その米を炊いて食べる喜び。
そんな喜びを想像しながら稲刈りまであと少し
「田んぼと向き合う日々」を楽しみたい、そう思っています。