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80歳を過ぎてまさかの移住! 
親子2世代での移住について|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.038

Page 3

下田での新生活がスタート

そんなこんなで移住が決まり、ゴールデンウィークあたりに
引っ越したいとのこと。

同居も一瞬頭によぎりましたが、夫もお母さんも
別居にしようとすでに話し合っていました。
そのほうがお互い気を使わなくていいのではないかと。
私も正直なところ、いきなり同居する自信がなかったので、
その決断がありがたかった。

ということで、さっそく賃貸物件探しを。
ちょうど娘の入学式が4月にあったので、
下田に1週間ほど滞在して物件を見て回りることにしました。
条件はわが家から徒歩圏内にあり、バス停にも歩いて行けること。
そして、日当たりがよいこと。

1週間という限られた時間では、気に入るような物件には
出会えないだろうな~と思っていたのですが、
これがなんとすぐに見つかったのです。
わが家が日頃からお世話になっている不動産屋さんが、
ちょうどお母さんによさそうな家が空いたからと案内してくれました。
わが家から徒歩2分、バス停まで徒歩5分。日当り良好。

ということで、家探しもトントン拍子にうまくいってしまった。
そして、ゴールデンウィークに本当に引っ越してくることになったのです。

東京で長年暮らしていた家。荷物を運び出しガランとした部屋の中を見ると、よく決意したな~とあらためて感じます。

「鍵を閉めてさあ下田に出発!」とこの笑顔。新たな生活にワクワクしている様子です。

「やっぱり海があるっていいね~」

日本海育ちのお母さん、下田の海を眺めながらうれしそうにつぶやきます。
引っ越しはとても疲れたようですが、10日くらいで家の段ボールも片づき、
下田での暮らしが始まりました。

お互いの家が歩いてすぐということで、
夕飯はほとんど毎日一緒に食べています。
わが家に来ることもあれば、お母さんがつくってくれることも。
夫婦揃って晩酌好きなわが家ですが、お母さんもまたなかなかいける口。
みんなでお酒を飲みながら囲む食卓が、日々の楽しみとなっています。

「あ~、本当に下田に来てよかった」と、うれしそうなお母さん。
その言葉を聞いて私たちもほっとしています。

お母さんの新居もすっかり落ち着いたので、この日は夕飯をごちそうになりました。「みんなで食べるとおいしいね」とお母さん、日本酒がすすみます。

お母さんと一緒に引っ越してきたぬか床は、20年以上前に親戚から受け継いだもの。このぬか漬けがまた食べられるのは、私たちにとってもうれしい。

物件を探しに下田に来たとき、実はお母さんの様子が少し心配だったのです。
一度は移住を決意したものの、いざ現実味を帯びてきたら
次々と押し寄せてくる不安。
「私が来たら、みんなに迷惑かけるんじゃないかな~」と。

これから引っ越しをするのに、どこからどう手をつけたらいいやら。
住み慣れた土地を離れて新しい土地で本当に暮らしていけるのか。
大きい不安や小さい不安が頭の中をぐるぐると回っている状態でした。
その様子を見ていたら、「東京を引き払って大丈夫なのだろうか……」と、
私たちも心配になっていたのです。

そうした経緯もあったので、楽しそうにしている姿を見て、
私も夫も胸を撫で下ろしています。