menu
記事のカテゴリー

移住した伊豆・下田で
新生活スタート!
この2か月で感じた、
不安なこと、うれしいこと|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.016

Page 4

楽しいこと、新たな発見もたくさん!

不安なことをつらつらと書き綴りましたが、
もちろん楽しいことや新たな発見もたくさんあります。

下田に住み始めて大きく変わったのが、
先ほども書きましたが、食回りのことです。

下田や隣の南伊豆町は、直売所がとても充実しています。
自宅から自転車で行ける範囲だけでも2か所の直売所があり、
朝採れの新鮮な野菜や果物がとても安く手に入ります。
自家菜園も少しずつ始めてはいますが、
家族の食卓を彩るにはまだ時間がかかりそう。
いまはもっぱら地元農家さんのお野菜に頼っています。

そして、移住者の方がよく口にする
「ご近所さんにお野菜とかよくもらうよ」というフレーズ。
そうしたことが自分たちの暮らしにも起きています。
通りすがりに玉ねぎや甘夏をいただいたり、
「枇杷がなってるから採りにおいでー」と呼んでいただいたり。

物件を紹介していただいた不動産屋さんとは、徒歩圏内のご近所さん。ご自宅には枇杷や梅の木があり、一緒に収穫させていただきました(ついでにズッキーニやレタスも)。家中に甘い梅の香りが漂っています。

先日は、近所の釣り船屋さんのご主人が魚を抱えて突如現れ、
庭先でチャキチャキとさばいてくれるなんてこともありました。
そうした日々のできごとが新鮮で、
本当にうれしくて楽しくて仕方ないのです。

釣り船宿〈兵助屋〉のご主人鈴木俊和さんが、朝釣ったばかりのいさきを持って来てくれました。娘にとって馴染みのない光景。素早くさばかれていく魚たちを、真剣に見守ります。

いさき3尾を、お刺身と塩焼きでいただきました。塩焼きはほくっほくで、下田産のレモンを少し絞るともう絶品でした!

そしてもうひとつ食回りで大きく変わったことは、
つくり手さんとの距離が近くなったこと。
下田で暮らしていると、近所でひじきを干している光景に出くわしたり、
塩をつくっている方とたまたたま知り合えたりします。

私はもともとつくり手の方に興味があり、
そうした現場を撮影しているときにすごく幸せを感じます。
いままで知らなかった作業工程を見せてもらったり、
つくり手の方が苦労している姿を間近で見れることは、
食べものの原点に触れるような喜びがあります。

下田に住むようになってから、
日常でシャッターを切る回数が格段に増えました。
東京にいるときは近所に出かけるのに一眼レフを
持ち歩いていませんでしたが、いまは必ず携帯しています。
いつどこで心躍る場面に遭遇するかわからないのです。

小さい頃、夏になると海水浴に訪れていた下田。
そのまちで暮らしてみたら、昔とは違う景色が見え始めてきました。
この先、またどんな旅が始まるのかわからないけれど、
流れに身をまかせてみよう。

天気のよい朝に下田漁港へ出かけてみると、ちょうど金目鯛が水揚げされているところでした。下田は金目鯛の水揚げ高全国1位。ずらりと並ぶ金目鯛、てきぱきと作業をする男達、張りつめた空気に圧倒されました。

家から徒歩圏内の海水浴場へ散歩に出かけると、民宿の玄関先でひじきを干していました。5月の初旬、こんな光景があちらこちらで見られます。

外浦海岸の海水で塩をつくっている村山英夫さん。近所の直売所でたまたま村山さんと出会い、夫と娘と一緒に作業場を見せていただきました。

村山さんの塩造りはすべて手作業。海水を4、5日かけて薪で炊き上げ、天日干ししながら丁寧にごみを取り除いていきます。

娘に、お塩つくってるの見てどうだった? と聞くと、「暑かった。けど、おじさんかっこよかった!」とのこと。村山さんに伝えると、ほんわりと笑ってくれました。

炊きたてのご飯に塩をひと振り、それが娘のお気に入りの食べ方です。村山さんの作るお塩は、〈直農産物直売所旬の里〉などで購入可能です。