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移住した伊豆・下田で
新生活スタート!
この2か月で感じた、
不安なこと、うれしいこと|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.016

Page 3

1 クモとかムカデが家中に多発

自然豊かな土地では当たり前なのでしょうが、
都会育ちの私にとっては未知との遭遇。たった2か月の間に、
4匹のムカデと、数えきれないほどのクモと出会いました。
クモは噛まないし刺さないし(たぶん)、
最初は驚いたけれどすぐに慣れました。

問題はムカデです。

これは噛まれたら大変、ひどく腫れ上がり、痛みを伴うらしいのです。
それが、この短期間で私の髪の毛の中に2度も潜り込んでいました。
私は過去に3度ほどムカデに体を這われたことがあり、
その感覚を体が覚えています。

その日も、あ、奴がきた……、と、
なるべく体を揺らさないようにして夫のところへ行き、

「ね、いる? いる?」

夫「!!!」

そうして2回とも払ってもらい、ことなきを得たのですが、
これがもし娘だったらと思うといてもたってもいられず、
緊急で対策を考えました。
夫は家の周りを探索してムカデの巣窟を発見、そして入念に退治。
私は以前聞いたことのある「ムカデ油」を入手すべく、
物件を紹介していただいて以来お世話になっている
不動産屋の社長に連絡してみると、
50年ものを持っているとのことで、分けていただきました。

ムカデ油というのは、生きたムカデを油に浸けておいたもので、
刺されたときにそれを塗るとあっという間に腫れと痛みがひくのだそう。
ムカデは攻撃しなければ噛まないのだそうで、
社長はいままでに一度も刺されたことがないと聞いて少し安心しました。

そして娘にはムカデレクチャー。

「ムカデを見つけたときは、あわてない、叩かない、
すぐに人に知らせましょう!」

寝るときには寝具をチェック、長靴を履くときにも
中にいないか確認するという動作にも少しずつ慣れてきました。

50年もののむかで油。ムカデの原型は跡形もなく、すべて溶けています。

2 「旦那さんのお仕事は?」
と聞かれると困る

夫は、移住した先で自分が必要とされる仕事があるはずだと、
仕事を決めずに移住に踏み切りました。
けれど、こちらに来て初対面の方にご挨拶すると、
名前の次に聞かれるのが夫の職業。

「旦那さんは何してるの?」

「いまは何もしていないんです、無職です」

「……。下田は仕事ないよ~、大丈夫?」

と怪訝な顔をされることもあります。

相手のその表情を見るたびに、私は気まずい思いをしていました。
本当は、肝っ玉母ちゃんのようにどんと構えていればよいのでしょうが、
私は子どもの頃から人の表情を深読みするようなタイプで、
いまだにそれが抜けていません。

「あのさ、コロカルで連載もしてることだし、
文筆業とか名乗ったらどうかな?」夫にそう伝えました。

その後、「無職」という言葉を避けて、なんとなく濁すようになった夫。
いま思えば、夫のその率直さを支えてあげたらよかったのに、
と気弱な自分を反省しております。

そして2か月経ったいま、夫が想像していたように、
いろんなことが動き出しました。
それについては次回以降、夫が書かせていただきます。

下田が人で賑わう黒船祭の間、友人を通じて知り合った方のお店を手伝うことに。飲食店を経営してたことのある夫、その経験が生かされています。〈TableTOMATO〉にて。

3 収入が減ることは覚悟していたものの、
実際そうなってみると焦る

移住先を探していたこともあってなかなか予定が読めず、
仕事の依頼を断らざるを得ない状況が昨年から続いていました。
下田での生活が落ち着いてきてからは、仕事も受けられようになりました。
今後は下田や伊豆での仕事もできたらと思いますが、
いまのところは東京の仕事がメインです。

下田と東京の移動は3時間、
やはり東京に住んでいたときほど稼働することはできません。
いまのところ月に2、3回通いながら仕事をしていますが、
収入は以前よりも減っています。

夫の収入もなくなったのですからダブル収入減。
そうなることは覚悟しているつもりでしたが、
実際身に起きてみるとやはり不安になるのが生身の人間てもの。
布団に入ってもなかなか寝つけない夜だってあります。

けれど、下田で暮らし始めてから支出が確実に減りました。
東京に比べて家賃は安く、直売所を利用すれば
新鮮な食材が安く手に入ります。
さらに、庭に生えているよもぎや明日葉を天ぷらにすれば、
お金はほぼかかかりません。

「よもぎの葉っぱがどれか、わかるようになったよ!」と、うれしそう。大人も子どもも、知らないことを知るのは、わくわくするのです。

いただきものの新玉ねぎと摘んだよもぎを天ぷらに。春の香りをめいっぱい楽しみました。

もちろんお金を使わずに生活できるわけではないので、現金収入は必要です。
けれど、子どもと一緒に草摘みをしたり、
おやつをつくったりする時間は以前よりも増えました。下田に来て2か月、
まだまだお金と時間のよいバランスを模索しているところです。

ついでによもぎ団子もつくりました。濃い緑色はよもぎの自然な色、美しい。

庭に生えていた蕗を夫と娘が採ってきてくれたので、煮びたしにしました。芽吹きの春、庭は食材の宝庫となります。