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淡路島は、神戸・大阪そして四国へのアクセスのよさや
気候の穏やかさ、食材の豊富さもあり、移住者に人気の島です。
移住に対してもNPO法人が移住体験施設を用意していたりと、
受け入れ態勢も整っていて移住者が多いのもうなずけます。
そんな淡路島での移住について情報を集めていると、ある方から
「移住希望者がお米をつくるのは、ハードルが高いかもしれませんよ」
とうかがいました。というのも、淡路島は晴れが多い。
とても魅力的ですが、逆に言えば雨が少ないということ。
そんな淡路島では、歴史的にも慢性的な水不足に悩まされてきたようです。
最近では、本州から水道管を引っ張ってきているので
飲料水が不足するということはないようですが、
田んぼで使用する農業用水は別の話。移住してその地域になじめば、
米づくりも問題なく始められるとのことでしたが。
淡路島の風景には田んぼはかなり多く、米づくりも盛んと感じていたので、
意外な実情でした。
やはり実際に足を運んで、現地の人にいろいろとお話を聞くと、
インターネットや文献では知りえない情報が入ってくると実感しました。
淡路島では、妻がコロカルの連載で取材させていただいた
〈観光農園 あわじ花の歳時記園〉を営む緒方さんにお世話になりました。
淡路島の暮らしについていろいろとお話をうかがい、
そして地元の食材を使ったおいしすぎる料理をたらふくいただきました。
緒方さんに紹介していただき、東日本大震災を機に
福島から岡山を経て淡路島に移住した志田守さんにもお会いしました。
それまでは農とは無縁だったとのことですが、
いまではすっかり自給的な暮らしをされています。
まさに自分の先をいく人です。
さて、予定では、岡山から徳島、淡路島をめぐり、
東京に戻ることにしていました。
カーナビに自宅を入れてさあ、出発するぞというときに妻がボソッとひと言。
「いま、美杉を見たらどう感じるのかな?」
美杉とは三重県津市美杉町のこと。
そこには、昨年、旅をしていて知り合った沓沢夫妻が住んでいます。
彼らに、彼らの生き方に私たちが惚れてしまって、
何度も足を運んでいる土地なのです。
確かに、岡山、徳島、淡路島と魅力的な地域をめぐったものの、
実際に走ってみるとかなり遠く感じました。また、淡路島は、
自分の理想からすると水の問題が少しだけ引っかかりました。
三重県の美杉なら東京からの距離も条件の範囲内ですし、
雨の多い紀伊半島、水が不足するということはないかと思います。
淡路島とは逆に、雨が多くて少なからず問題があるのかもしれませんが、
自分が何を重視するか? という話なのかと思います。
それまで訪れていたときは、移住を漠然とは考えてはいたものの
決意には至っていなかったので、移住先という視点では
しっかりと見てはいなかったのです。
ある程度、移住先に対する条件もまとまってきたこの段階で
美杉を見てみたい、さらには、沓沢夫妻に
移住を決めたという報告もしたいという気もしてきました。
ということで、その妻のひと言に大いに同感。
さっそく、沓沢さんに連絡。
「急遽、美杉に行こうと思うのだけど、いまから行ってもいいかな?」
歓迎してくれるとのありがたい返信があり、
カーナビの行き先を変更して美杉に向かうことに。
そんな行き当たりばったりで行き先を変更してしまう
自分たちの頭の整理のできてなさ具合に呆れるとともに、
そんな行き当たりばったりの旅がおもしろいんだと自分に言い聞かせる……。
そう、初めて美杉を訪れたときも
行き当たりばったりでたどり着いたのですから。
ということで、次回は美杉でのお話。わが家の移住、どうなることやら……。
information
民宿うり坊
information
あわじ花の歳時記園
住所:兵庫県淡路市長沢247-1
TEL:0799-64-0847
営業時間:9 : 00 ~ 18 : 00
定休日:通年不定休(12月30日 ~ 翌1月3日休)
入園料:開花期以外/無料 アジサイ開花期/高校生以上500円、小中生400円