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徳島の農家民宿〈うり坊〉から
淡路島〈あわじ花の歳時記園〉へ。
移住先探しの旅は続く!|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.003

Page 3

条件には合わないけれど…
理想の暮らしを訪ねて

さて、いよいよ本題、今回の旅。
居心地のよさに後ろ髪をひかれる思いで岡山を出発したわが家。
次なる目的地は徳島、淡路島です。
穏やかな瀬戸内海にかかる瀬戸大橋を渡り、香川県を経由して、
漠然と移住候補地として考えている徳島、そしてさらに橋を渡り、
淡路島に行く予定です。

いくつもの島が浮かぶ穏やかな瀬戸内海は、気候も穏やか。それを見ていると自分の気持ちも落ち着いてくる。住む環境で人は変わるのかもしれない、と瀬戸内に来ると感じます。

橋を渡れば、そこは漠然と移住候補地と考えていた
徳島と淡路島という状況になり、移住先の条件と照らし合わせてみると、
なかなか厳しい……という気がしてきました。
何をいまさら、という感じもしますが、
わが家は昔から無計画でここまでやってきました。
実際に足を運んでみないと納得できないという、
なんとも遠回りな性分なのです。

晴れた日にはダッシュボードにソーラーパネルを置いてスマートフォンやモバイルバッテリーを充電しながら旅をしています。モバイルバッテリーを充電しておけば車中泊の際に、スマートフォンの電池が減っても安心です。

まず引っかかるのは、東京からのアクセス。
徳島に車で行くととすると、淡路島経由で行くことになるようです。
淡路島の神戸寄りのエリアでも、
東京の杉並から車で渋滞なしで6時間かかります。
東京から名古屋、京都、大阪、神戸という大都市を経由するルートで
一度も渋滞に引っかからないというのも考えにくいので、
6時間以上は確実にかかるのかと思います。
朝出て昼過ぎに着く感じではないのかもしれません。

では、なぜ、漠然と移住候補地として考えていたのかといいますと、
知人が住んでいて、彼らの情報から、
「移住するのにはよさそうなところだ」と惹かれていたのです。
同じく岡山や小豆島、九州にも知人がいるのですが、
ちょっと遠すぎるかなと思い、移住候補地からは外していました。

でも、あらためて調べると、徳島と岡山だと、渋滞なしで7時間で、
ほとんど同じくらいということがわかりました。
完全なる思い込み。我ながら呆れてしまいます。

ということで、移住候補地の条件を整理してからは、
徳島・淡路島は一旦外そうということになりました。
といっても、この旅は移住候補地を巡るだけでなく、我々が目指すような
暮らしをしている人たちを訪ねることも主題のひとつなのです。
そんな人々を訪ね、徳島と淡路島を巡りました。

まず徳島では以前、妻がお世話になった東みよし町の
民宿〈うり坊〉を訪ねました。

民宿〈うり坊〉のご主人、木下正雄さん。いい顔してます! 山あいにあるこちらの畑は急傾斜地。急傾斜地ならではの水はけのよさで作物の味が濃く、おいしくなる。こんなうまい野菜を育ててみたい!(撮影:津留崎徹花)

畑にお邪魔してトマトの収穫をさせていただきました。トマトが大好物の娘、真剣です。庭になっている旬の野菜、果物が食卓に並ぶ、そんな環境で子育てをしたいのです。

こちらの宿の売りは、自家栽培の野菜やその野菜を使った保存食、
そして獣害駆除の目的でご主人自ら狩猟し、
丁寧にさばいた猪や鹿の肉を使ったジビエ料理。
猪や鹿はさばき方でその臭味や旨さがかなり変わってくるとは
聞いたことがありますが、それを実感するような旨さなのです。

ご主人に、移住したら米や野菜を自給したいとお話ししたところ、
「猪や鹿はどこの地域でも獣害で困っているのだから、
狩猟して、肉も自給しなさいよ」とアドバイスをいただきました。
確かに獣害で困っている現状からすると、
その狩猟には大きな意味があります。
そして、丁寧にさばけばとてもおいしくいただけるのです。

狩猟されてもそのまま野山に
捨てられてしまうこともあるという現状を考えると、
命を大事にするという観点からもとても意義のあることです。
都会育ちの自分にできるのかという不安がないといえば嘘になります。
でも、自給自足を目指すのであれば、その境地までたどり着きたい。
ご主人とビールを酌み交わしつつ、そんな思いを抱いた
有意義な夜となりました。

徳島では、改造ワンボックスカー〈歩く花号〉のキッチンの使い心地を試しました。スペースの問題でキャンピングカーのように車内にキッチンは設置できません。バックドアを開けてキッチンを組み立てることにしました。解放感ではキャンピングカーに負けません! こうして地元の食材を食すのもこの旅の楽しみのひとつです。