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posted:2025.8.15 from:大阪府大阪市 genre:ものづくり
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〈Haeckels(ヘッケルス / ピープルケア プラネットケア)〉は、イギリス南東部の港町・マーゲートを拠点にするスキンケアブランド。“自然と共に生きる”ことを核として、環境負荷を抑えた素材と製法にこだわりながら、地球の循環に寄り添うプロダクトを生み出してきた。その哲学を体現するように、2023年にはイギリス国外初のフラッグシップストアを大阪にオープン。土地の文化と自然環境に向き合いながら、日本での活動とものづくりも、本格的に動き出している。
〈Formerly known as Haeckels〉は、なぜ日本で石鹸づくりを始めることになったのか?その背景には、ある小さな港町の噂があった。
「地元の漁師たちが、失われたアマモ場の再生に取り組んでいる港町があるらしい」。そんな話を聞き、〈Formerly known as Haeckels〉のメンバーは岡山県備前市・日生町を訪れた。
そこで出会ったのは、豊かな自然と、海と共に生きることを真摯に見つめる人々の姿。遠く離れたイギリスの港町と日本の漁師町が、海を介して静かに共鳴し合い、誕生したのが「ハイドレーティング・イールグラスソープ」だ。
「ハイドレーティング・イールグラスソープ」
使用するのは、海底に根づいたアマモではなく、自然に海面へと漂着した“流れ藻”のみ。海の生態系を壊さず、資源を活かすという姿勢は、ものづくりのすべてに一貫している。
当初はイギリスで製造し、日本へ輸入していたという。しかし、アマモを再資源化するという活動の意義を考えたとき、輸送に伴う化石燃料の使用や環境への負荷は見過ごせない課題だったのだ。そこで〈Formerly known as Haeckels〉は、より地産地消に近づけるべく、製造拠点を日本国内に移すことを決断。現在は、瀬戸内にある石鹸専業メーカーと提携し、低温でじっくりと仕上げるコールドプロセス製法を採用した。
防腐剤や添加物は一切使用せず、パッケージには生分解性素材を使用。海への敬意と、肌へのやさしさが共存するプロダクトとなっている。
石鹸づくりと並行して、〈Formerly known as Haeckels〉は土地の空気そのものを“香り”としてとどめる試みも続けてきた。その一つが、旧閑谷学校との出会いから生まれたキャンドル「オールドスクール」だ。2018年、旧閑谷学校を初めて訪れた際、静けさと知の気配に満ちた空間に触れ、「この場所の記憶を香りで表現したい」と感じたという。その思いは、備前焼の窯元・宝山窯との協働によって結実し、キャンドルとして形となった。
キャンドル「オールドスクール」
閑谷学校の佇まい、備前焼の質感、そしてこの地に息づく手仕事の文化。それらを、ひとつの香りに閉じ込められている。〈Formerly known as Haeckels〉はこれからも、備前の人々と共に新たな可能性を探っていく活動を続けていくはずだ。
旧閑谷学校は、寛文十年(1670年)に岡山藩主・池田光政が創建した、日本で最初の庶民のための学校として知られている。
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Formerly known as Haeckels Osaka(ヘッケルス / ピープルケア プラネットケア 大阪 )
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