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福岡城に「幻の天守閣」が出現。
歴史のロマンに思いを馳せてみませんか

コロカルニュース

posted:2024.3.13   from:福岡県福岡市  genre:旅行

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writer profile

Haruko Sato

佐藤 はるこ

さとう・はるこ●福岡生まれ、福岡育ち。成人してから引っ越した回数は10回以上。日本各地を移動しながら、2010年からフリーランスのライターとして活動。建築、都市、まちづくりに興味あり、音楽やアートの話が好き。人から話を聞くのがとても好き。

夜桜とともに浮かび上がる「幻の天守閣」

日本各地の城跡では、季節のイベントや記念日などにあわせて
ライトアップを行っているところも多いですよね。
福岡市の中心地・天神にほど近い〈福岡城〉でも、
今年初めて「天守閣のライトアップ」が計画されています。

日本の城に詳しい人、福岡城を訪れたことがある人なら
「おや?」と思うのではないでしょうか。
そう、福岡城の天守台には「天守閣がない」のです。

そんな福岡城にこの春、「幻の天守閣」が出現します。

福岡城に「天守閣」はあったのか?

福岡城の天守台。現在は展望台として利用されています。写真提供:福岡市

福岡城の天守台。現在は展望台として利用されています。写真提供:福岡市

関ヶ原の戦いで戦功をあげ、筑前国ほぼ一国を与えられた黒田長政。
福岡藩初代藩主となった黒田氏によって、1601年から7年の歳月をかけて
築城された福岡城は、約12万4千坪という広さを誇ります。

日本のお城をイメージするときに思い浮かべるのは、
「白壁と瓦屋根をもつ天守閣」ではないでしょうか。
しかし現在、福岡城の天守台に天守閣のすがたはありません。

これまで、福岡城を描いた絵図『福博惣絵図』(1646)などの史料から
黒田官兵衛・長政は「天守閣を建てなかった」と考えられてきました。
それが近年、福岡城に天守閣があったことをうかがわせる文書が発見されたことにより、
その存否についての議論が再び注目を集めているのです。

福岡城の天守台から望む福岡のまち。写真提供:福岡市

福岡城の天守台から望む福岡のまち。写真提供:福岡市

天守閣が「あったけどなくなった」城も、「元からなかった」城もあるなかで、
「あったかなかったかさえわからない」福岡城の天守閣。
築城当時の史料がほとんど残っておらず、今もなお謎に包まれています。

春の夜空に浮かび上がる幻の天守閣を眺めながら、その歴史に思いを馳せてもらいたい。
そんな思いから生まれたのが、「福岡城 幻の天守閣ライトアップ」なのです。

写真提供:福岡市

写真提供:福岡市

ライトアップは2024年3月27日(水)、〈福岡城さくらまつり〉の開会に合わせてスタート。
天守台には、仮設の天守閣が設置されます。
(ライトアップ期間および仮設工事期間中、天守台は立ち入り禁止になります)
日時や時間帯によって、色や光り方を変える演出も予定されているそう。
屋根や破風、窓のかたちを強調したアウトラインにLEDライトを設置、
本丸の桜並木の上に「幻の天守閣」が浮かび上がります。

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天守閣ライトアップのプロジェクトを運営する、
福岡市 地域観光推進課 課長・小柳さんは、こう話します。
「福岡城は城の規模としても大きく、築城当時の趣を残す櫓(やぐら)や
壮大な石垣もあります。今回のライトアップをきっかけに福岡城に足を運び、
その歴史に興味を持ってもらえたら、と思っています」

天守閣ライトアップに使われている資材は、再利用できるのだそう。
「今年初の試みなのでまだ確定はしていませんが、評判が良ければ
来年も同じ時期にライトアップを開催したいと考えています」と小柳さん。
天守台のある本丸の桜園は、福岡城さくらまつりの期間中は18時から22時まで、
有料のライトアップエリアとして公開されます。

2023年 福岡城さくらまつりのライトアップ(下之橋御門付近)。写真提供:福岡市

2023年 福岡城さくらまつりのライトアップ(下之橋御門付近)。写真提供:福岡市

〈福岡城さくらまつり〉の開催期間は3月27日(水)から4月7日(日)の間の12日間。
屋台やキッチンカーが集まる飲食エリアは11時から22時までオープンしているので、
お花見を楽しみながら、天守閣のライトアップを待つのもいいですね。

一方、天守閣ライトアップの点灯期間は2024年5月31日(金)まで。
桜の季節が終わっても、しばらくは「幻の天守閣」を眺めることができますよ。

「潮見櫓」の復元プロジェクトも進行中

実はここ数か月の間に、福岡城はどんどん変化しています。
かつての入城動線が「上之橋御門」跡に復活し、扇形の階段「扇坂」が
再整備されるなど、城内に新しい名所が続々と登場しているんです。

築城当時のかたちで再現された「扇坂」。お城の階段としては、とても珍しい形状だそう。写真提供:福岡市

築城当時のかたちで再現された「扇坂」。お城の階段としては、とても珍しい形状だそう。写真提供:福岡市

明治時代、博多区の寺院に移築されていた「潮見櫓」も注目スポットのひとつ。
福岡市 史跡整備活用課 福岡城跡整備係長・大塚さんにお話を伺いました。
「福岡城は国指定史跡に指定されているため、城内の施設の復元には綿密な調査と
文化庁の許可が必要です。潮見櫓は昨年から復元工事がスタートしていますが、
釘1本がどこに、どんなふうに使われていたかまで詳しく調査した上で、
建築当時の工法で建てられているんです」

一度はお寺の仏殿として再利用されていた櫓が100年後に帰ってくるという、
なんとも感慨深い話。完成は2025年の春を予定しています。

そんな背景を知っていると、「幻の天守閣」もさらに興味深く感じられませんか?

「幻の天守閣は、天守台と合わせて約27メートルの高さになります。
お隣の大濠公園からはもちろん、もう少し離れたところからでも見えるはず。
福岡城周辺をぐるりと散策してみて、きれいな写真が撮れる場所を
探してみるのはどうでしょう」と大塚さん。

夜桜の向こうに、あるいはビルの隙間から見える、幻の天守閣。
春の観光旅行で訪れる方はもちろん、福岡近郊にお住まいの方も、
ショッピングやお食事のついでに、ぜひ足を延ばしてみてくださいね。

information

map

福岡城の天守閣ライトアップ

開催期間:2024年3月27日(水)〜2024年5月31日(金) ※福岡城さくらまつりの開催にあわせて点灯開始※福岡城さくらまつりの開催期間は 2024年3月27日(水)から4月7日(日)の間の12日間 

開催場所:福岡県福岡市中央区城内

最寄駅:福岡市営地下鉄・赤坂駅

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