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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
夢あふれる「木のおうち」に暮らす、「こえだちゃん」。
人形遊びが好きだった方なら、その名を聞くだけで
鮮やかな記憶がよみがえるのではないでしょうか。
「こえだちゃんの木のおうち」は、1977年から現在に至るまで販売されている、
〈タカラトミー〉のオリジナルキャラクターのミニドールつきハウス玩具シリーズ。
この度、タカラトミーと青森県がコラボレーションし、
津軽塗の「木のおうち」をつくってしまいました。
形はオリジナルを受け継ぐシルエットながら、
その風合いは、たしかに津軽塗。
こちらは、今回のためにデザインされた「津軽塗 こりんごちゃん」。
ぽってりした頭が、なんとも渋くてかわいい!
津軽塗が施されているのは「こえだちゃんの木のおうち」の屋根や
「こりんごちゃん」の頭と家具の部分。
技法は、津軽塗を代表する「唐塗」。
穴の開いたへらで漆の斑点模様をつけて色漆を重ね、
研ぎ出して斑状の文様を表すのだそうです。
その他の部分は、タカラトミーが津軽塗の艶や
重厚感が引き立つよう、シックな色合いに。
こえだちゃんを通して津軽塗の世界観を感じられる仕上がりになっています。
漆塗りを施したのは、青森を代表する津軽塗メ ーカー〈小林漆器〉。
制作に参加した若手職人、小林正知さんは
「こえだちゃんの木のおうちの屋根部分は、
波型の凹凸があり形状が複雑なため、
漆の研ぎ出しに手間がかかったが、
津軽塗の代表的な模様となる唐塗にこだわり制作した」と語ります。
唐塗の塗り・研ぎ・磨きは約50工程にも及び、
「馬鹿塗」とも称されるほど膨大な手間と時間がかかるのだとか。
本作品の完成には約3か月を要したそうです。
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1977年、「自然」をテーマに誕生したこえだちゃん。
こえだちゃんと木のおうちは、
絵本の世界から飛び出してきたようなかわいらしさと、
エレベーターなどの楽しいしかけが当時の女の子たちを中心に大ヒットし、
絵本や文房具なども登場しました。
その後も自然というテーマはそのままに、
数回のリニューアルやお休み期間を経ながら、
時代に合わせて、さまざまなシリーズが登場。
今では、親子2世代に愛されるロングセラー商品となっています。
今回のコラボレーションは、伝統工芸の認知を広げ、
これまでにない発想で異業種との連携をしていきたいと考える青森県と
タカラトミーの思いが重なって実現。
タカラトミーは青森県の世界観と、自然をテーマに展開している
こえだちゃんシリーズは親和性が高いと感じたのだそう。
残念ながら「津軽塗 こえだちゃんの木のおうち」と
「津軽塗 こりんごちゃん」の販売は予定されていませんが、
2019年6月15日、16日に開催される〈東京おもちゃショー2019〉で一般公開されます。
また、青森県弘前市にある〈藤田記念庭園 考古館〉では、
2019年7月1日(月)から展示を予定(終了時期未定)。
藤田記念庭園には、弘前出身の建築家・堀江佐吉さんの子孫が
設計を手がけた洋館やカフェなどもあります。
漆器好きなら、ぜひ一度行ってみたいですね。
© TOMY © TOMY / designed by Suzuka Yoshida.
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藤田記念庭園 考古館
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