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下蒲刈島ってどんな島?
小さな島にアート&歴史が
ぎゅっと凝縮!

コロカルニュース

posted:2019.1.30   from:広島県呉市  genre:活性化と創生 / アート・デザイン・建築

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
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Yasuko Urayama

浦山 寧子

うらやま・やすこ●ライター&編集。生まれも育ちも広島県呉市。雑誌や新聞の記者として多数のメディアで執筆。紙からデジタル化へ移行しつつ、地域の情報を発信するWEBサイト「KUREP」やSNSアカウントを運営

潮待ち、風待ちの島・下蒲刈島

広島県呉市の南東に位置する「下蒲刈島(しもかまがりじま)」という島をご存知ですか?
市内からは、車で30分ほど。島と本土を繋ぐ安芸灘大橋を渡ると、到着です。
人口約1400人ほどののどかな島ですが、
そこには、文化と歴史がぎゅっと詰まっています。


江戸時代から潮待ち、風待ちの船が立ち寄る
海上交通の要所として栄え、朝鮮通信使の一行や参勤交代する
西国大名も立ち寄ったという、由緒正しい島のなのです。

その歴史と文化の流れを汲み、小さい島ながらも島内には
美術館や資料館、庭園など様々な施設や見どころがあります。
現在は、上蒲刈島や豊島、大崎下島、岡村島など、
瀬戸内の島々を結ぶ「安芸灘とびしま海道」の玄関口として、
風光明媚な景色を楽しむサイクリニストやランナーが多く訪れる島になっています。

テーマごとに4つの展示を楽しめる〈松濤園〉

そんな下蒲刈島で人気の施設〈松濤園〉は、4つの建物が並ぶ
美しい庭園を回遊しながら見学する珍しい博物館。

〈松濤園〉

〈松濤園〉

〈松濤園〉を構成する美しい庭園と日本の建築技術を遺した
それぞれの建物は、朝鮮通信使の資料や模型、民芸品が展示された〈馳走一番館〉、
1600年~1700年後半の貴重な古伊万里の名品が眺められる〈陶磁器館〉、
紀元前~1800後半までの珍しい西洋の照明器具のコレクションが楽しめる〈あかりの館〉、
海上の警固についた御番所を復元した〈蒲刈島御番所跡〉です。

特に話題なのが〈馳走一番館〉に展示してある『朝鮮人来朝覚備前馳走船行烈図』。

『朝鮮人来朝覚備前御馳走船行烈図』

『朝鮮人来朝覚備前御馳走船行烈図』

2017年にユネスコ〈記憶遺産〉に認定された世界レベルで評価された作品で、
1748年に朝鮮通信使が航海した時のたくさんの船や街の様子、
当時の生活など細かく描かれ、思わず見入ってしまいます。

松濤園内のそれぞれの建物は、和風建築の伝統様式を残す
古民家をわざわざ移築したもの。中身の展示品はもちろん、
建物自体も興味をそそり、4つの建物が陶磁器や明かりなど、
テーマごと楽しめるようになっているので、飽きることがありません。
中には、マニアがびっくするような高価な陶器や展示品が発見できるかも!

日本を代表する近代作家の作品を展示する〈蘭島閣美術館〉

そして、松濤園からすぐ近くにある〈蘭島閣美術館〉も外せません。

総檜造り、木造建築を誇る立派な建物の美術館で、
靴を脱いで入館するため、寛いだ気分で美術作品が鑑賞できます。
所蔵品は、須御阿弥赫土、奥田元宋、平山郁夫など、
日本を代表する近代作家の作品が約2200点と充実した
コレクションを有し、美術ファンを満足させてくれるでしょう。

〈蘭島閣美術館〉

〈蘭島閣美術館〉

こちらの美術館では、美術館のホールで開催される
ギャラリーコンサートも評判です。
毎月第3土曜はクラシックを中心としたコンサートを開催しています。
世界や全国各地から有名な演奏家を招き、毎回訪れる根強いファンもいます。
アットホームな雰囲気のステージは、演奏家たちからは
「世界一、奏者と聴衆の距地が近いコンサート」と言われるほど。
至近距離で聞く世界レベルの演奏は、迫力満点です。

さらに、建築を堪能したい方は、〈蘭島閣美術館〉に隣接した
〈白雪楼〉もいかがでしょうか。
江戸末期の豪農だった邸宅を移築したもので、
可動式の壁を備えた和室は全国でも貴重な建物だそう。
庭や瀬戸内海のキラキラ輝く海を眺めながら、
お抹茶を一服点ててもらうこともできますよ!

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美術や歴史がお好きなら必見!〈三之瀬御本陣〉

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〈三之瀬御本陣 芸術文化館〉

〈三之瀬御本陣 芸術文化館〉

美術や歴史がお好きなら必見!〈三之瀬御本陣〉

美術好きさんは、“歴史と美術”をテーマにした
〈三之瀬御本陣〉へも足を運んで下さい。

建物は、江戸時代に朝鮮通信使を迎える際に
大切な案内役をした対馬藩一行の宿泊所「本陣」の外観を復元。
趣のある建物ですが、中は近代設備が整ったユニークな美術館です。
江戸時代の甲冑や火縄銃、姫駕籠など歴史的を感じる展示品と、
京都洋画壇の巨匠・須田国太郎の作品の常設展示、
独立美術協会の作家の作品など、歴史と美術の両方を楽しむことができます。

須田国太郎の作品の常設展示

須田国太郎の作品の常設展示

ここで注目!〈三之瀬御本陣〉にある、
コロカル読者の皆さんがきっと喜ぶ展示を教えます。
2階には須田国太郎ゆかりの品がコレクションされた
展示室があるのですが、愛用した帽子やトランクのほか、
是非見てもらいたいのがグリコのおまけコレクション。

グリコのおまけコレクション

グリコのおまけコレクション

木製やセルロイド、布や紙で作られた素朴なおまけたち。
もう、この可愛さと言ったら~~。
おまけをひたすらに愛で、これほどたくさんコレクションした、
国太郎氏の愛を感じるはずです。
この数が集まったグリコのおまけは、グリコ本社の人も
訪れて唸るほどの貴重なコレクションだそうです。

小さな島に、美術館、庭園、資料館と、たくさんの魅力が詰まった下蒲刈島。
のんびりしながら、興味深い面白さにあふれる瀬戸内の島は、
今後もますます注目されそうです。

2月は〈梅見茶会〉や〈~夢のかけはし~蘭島閣ギャラリーコンサート〉も開催。
ぜひお出かけになってみてください。

〈梅見茶会〉

〈梅見茶会〉

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梅見茶会

開催日:点前 2019年2月9日(土)/点出 2月10日(日)

時間:9:30~16:00(受付は9:00から)

会場:松濤園

住所:呉市下蒲刈町下島2277-3

茶席:無料(ただし、松濤園の入館料が必要)

協力:茶道裏千家 中野宗賀(須賀子)

入館料:大人800(640)円、高校生480(380)円、小中学生320(250)円 ※括弧内は20名以上の団体料金

問い合わせ:0823-65-2900(松濤園)

Web:松濤園

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~夢のかけはし~蘭島閣ギャラリーコンサート

開催日:2019年2月16日(土)

時間:開演18:30(開場18:00)

会場:蘭島閣美術館 1階ロビー

住所:呉市下蒲刈町三ノ瀬200-1

出演:北田千尋(ヴァイオリン)、三又瑛子(ピアノ)

チケット:当日券のみ 一般1,500円 高校生以下無料 ※お子様は3歳から入場いただけます

問い合わせ:0823-65-2029(蘭島文化振興財団)

Web:蘭島閣美術館 ~夢のかけはし~蘭島閣ギャラリーコンサート

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