colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

連載

潮風に吹かれて味わう、
淡路の春の風物詩・くぎ煮。

NIPPON 47 Beer Spots&Scene!
全国、心地いいビールスポット
vol.004|Page 1

posted:2016.5.1  from:兵庫県淡路市  genre:食・グルメ

sponsored

〈 この連載・企画は… 〉  その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?

writer profile

Mako Yamato

大和まこ

やまと・まこ●京都在住のライター/コーディネーター。京都に暮らす最大の幸せは、思い立ったらすぐに鴨川でピクニックができること。『&Premium』では、さんぽ部部長として「&Kyoto」を連載中。

credit

撮影:福森クニヒロ

credit

Supported by KIRIN

47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
兵庫でコロカルが向かったのは、淡路島の〈藤本水産〉。

小さいくぎ煮はご飯に、大きいくぎ煮はおつまみに

春の訪れを伝えてくれる春告魚。
神戸や淡路の春告魚といえば、くぎ煮で知られるいかなごです。
くぎ煮とはとれたてのいかなごを炊くことで、
身がきゅっと締まり釘のように折れ曲がる姿からつけられたと伝わる名前。

毎年2月下旬から3月初旬の解禁日から、約1か月にわたって水揚げされるいかなごは、
しんこと呼ばれる稚魚から、ふるせと呼ばれる成魚まで、
日に日に大きくなりつつ、連日水揚げが行われます。

漁期間の最後で大きめのいかなご。

それと同時に忙しくなるのが界隈の家庭の台所です。
鮮度が命のいかなごを手に入れたら、それぞれの家の味でくぎ煮を炊き上げて、
ご近所や遠方に暮らす家族や知人に送るのが、この地方の春の風物詩。
鮮魚店にはいかなごを求める人で行列ができ、
まち全体が醤油の香りに包まれることからも、
熱の入りようがうかがえるというものです。

淡路島の北西に位置する育波浦(いくはうら)は、
春はいかなご、初夏から秋はしらすで知られる漁港。

その目の前にある〈藤本水産〉が最も賑わうのもいかなごの季節です。
いかなご漁は2艘の船が袋状の網を引いて群れごととる船曳網という漁法。
早朝から昼前まで、何度も漁場と港を行き来しながら漁を行います。

生のいかなごを釜に投入!

くぎ煮は生きたままのいかなごを使うのがセオリーですから、
港に上がったいかなごは鮮度が命。
藤本水産ではセリ落としたらすぐに作業場へと運び、
醤油、酒、みりん、砂糖を刻んだショウガとともに大きな鍋に入れ、
40~45分ほどかけて炊き上げます。

味つけは藤本家のレシピをもとに、照りを出すよう仕上げたもの。
特別にのぞかせてもらった作業場では、18もの釜がフル稼働。
次々とくぎ煮が炊き上げられていて、甘辛い香りが鼻をくすぐります。

「出始めの小さなしんこを炊いたものはご飯のおともに。
漁も終わりになる頃のふるせを炊いたものは、魚自体に味がのってくるので、
それだけで味わうおつまみにおすすめです」とは3代目の山下雅令さん。

藤本水産の3代目、山下雅令さん。

その言葉どおり、小さなくぎ煮は白いご飯が欲しくなり、
大きなくぎ煮は噛むといかなごの旨みが口に広がります。
控えめに効かせたショウガと、甘過ぎない醤油味が藤本水産の味。

旬である春に数トンの量を炊き上げたくぎ煮は、1年を通して店頭に並ぶため、
いつでも手に入れることができるのも魅力です。

加えて漁の季節だけのお楽しみは、釜揚げのいかなご。
さっと塩釜で茹で上げたものは、醤油やポン酢で食べるのはもちろん、
ワケギと酢みそ和えにするのも地元での定番だとか。