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私が撮影している場所は、下田市の南東部にせり出した須崎半島です。
そこでは80歳を超える海女さんたちがいまでも漁を続けています。
「海に来れなかったらさみしいよ、だから健康が一番だのぉ。
あたしゃよく言うんだよ。
健康であることが、一番の億万長者だよって」と微笑む海女さん。
「この歳になってもやっぱり海に行きたいよ。
ぜーんぶ知り尽くしてるから海のことは、
あそこはどんな地形だとか貝が多くいる場所とかね」と、
目を輝かせる海女さん。
「もう仕方ないってあきらめるんだよ。
これが自分の人生だと思って引き受けるほかないよ」と
乗り越えてきたものをゆっくりと噛み締めるように話す海女さん。
そして、「そりゃいろいろあるけどさ、
海へ行くと嫌なことも何もかも忘れちまうよ」そう笑い飛ばすのです。
東京で暮らしていたときには想像もしていなかった食の原点。
そこに分け入ってみると、
自然と寄り添いながら生きる海人さんとの出会いがありました。
危険と隣り合わせの漁場で、時に勇ましく挑み。
けれど、自然を相手にあらがっても
どうにもならないことがあるのだと身をもって知り、
そうして流れに身を委ねる。
土地の恵みに感謝しながらゆっくりと、
しっかりと自分の目の前で日々を紡ぐ。
そうした暮らしをいまも変わらず続けている海人さんの姿に、
私は生きるヒントを見出しているのかもしれません。
今回の写真展では「下田、海と山の幸de食堂」と題して、
食堂も同時開催します。
写真のなかで海人さんが収穫している海藻を
その場で味わうことができる、
食卓とその奥にある世界がつながる食堂です。
写真を見ながら味わいながら、
みなさんにどんなことを感じていただけるのか。
とても楽しみです。
information
津留崎徹花写真展『海と、人と』
日程:3月9日(木)〜14日(火)
時間:11:00〜20:00(最終日15時まで)
場所:hako gallery/hako plus
住所:東京都渋谷区西原3-1-4
Tel:03-5453-5321
Instagram:@umito.hitoto
※併設開催の『下田、海と山の幸de食堂』は予約制。詳細とチケット申し込みはpeatixまで。