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下田に移住したカメラマンが撮り続けた
海人の姿。
写真展『海と、人と』開催|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.138

Page 4

海人さんから生きるヒントを学ぶ

私が撮影している場所は、下田市の南東部にせり出した須崎半島です。
そこでは80歳を超える海女さんたちがいまでも漁を続けています。

「海に来れなかったらさみしいよ、だから健康が一番だのぉ。
あたしゃよく言うんだよ。
健康であることが、一番の億万長者だよって」と微笑む海女さん。

「この歳になってもやっぱり海に行きたいよ。
ぜーんぶ知り尽くしてるから海のことは、
あそこはどんな地形だとか貝が多くいる場所とかね」と、
目を輝かせる海女さん。

「もう仕方ないってあきらめるんだよ。
これが自分の人生だと思って引き受けるほかないよ」と
乗り越えてきたものをゆっくりと噛み締めるように話す海女さん。

そして、「そりゃいろいろあるけどさ、
海へ行くと嫌なことも何もかも忘れちまうよ」そう笑い飛ばすのです。

カメラに向かって微笑む海女さん

東京で暮らしていたときには想像もしていなかった食の原点。
そこに分け入ってみると、
自然と寄り添いながら生きる海人さんとの出会いがありました。

危険と隣り合わせの漁場で、時に勇ましく挑み。
けれど、自然を相手にあらがっても
どうにもならないことがあるのだと身をもって知り、
そうして流れに身を委ねる。
土地の恵みに感謝しながらゆっくりと、
しっかりと自分の目の前で日々を紡ぐ。
そうした暮らしをいまも変わらず続けている海人さんの姿に、
私は生きるヒントを見出しているのかもしれません。

貝類をとる海女さん

トコブシなどの貝類をとる海女さん。

カゴを手に青のりを採取中

強風のなか、青のりをつむ海女さん。

今回の写真展では「下田、海と山の幸de食堂」と題して、
食堂も同時開催します。
写真のなかで海人さんが収穫している海藻を
その場で味わうことができる、
食卓とその奥にある世界がつながる食堂です。
写真を見ながら味わいながら、
みなさんにどんなことを感じていただけるのか。
とても楽しみです。

information

map

津留崎徹花写真展『海と、人と』

日程:3月9日(木)〜14日(火)

時間:11:00〜20:00(最終日15時まで)

場所:hako gallery/hako plus

住所:東京都渋谷区西原3-1-4

Tel:03-5453-5321

Instagram:@umito.hitoto

※併設開催の『下田、海と山の幸de食堂』は予約制。詳細とチケット申し込みはpeatixまで。

文 津留崎徹花