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大人も子どもも泥だらけ!
地域のみんなを巻き込んで、
新しい田んぼで田植え!|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.129

Page 4

世界に飛び出す若者に伝えたい
「田んぼ」のすばらしさ

今回、田植えに来てくれたなかに、田んぼに入るのが初めてで、
近々、留学を予定している大学生たちがいました。
自分が「下田でのいくつかの仕事のひとつ」として関わっている
シェアレジデンス〈LivingAnywhere Commons 伊豆下田〉の
利用者さんです。

地域の方と利用者さんがつながっていく場を
つくっていきたいとも考えていますし、
彼らに「旅行ではできない体験をしてもらいたい」という思いで、
お誘いしました。

作業に集中する大勢の参加者たち

生粋の下田人から移住者、その子どもたち。そして、LivingAnywhereな若者も、みんなが一緒に泥んこに。

ひと通りの作業を終えてから、
彼らと話をしているとこんな話に展開していきました。

「人間の多くの生産活動が環境に対して負荷を与える
“非持続的な営み”なのに対して、
里山の田んぼで米をつくるという生産活動は、
環境にいい影響を与えつつ主食をつくるという
とても貴重な“持続的な営み”なんだよ」

用水路で足を洗う子ども

田んぼは、山から絶えず流れ込む水の栄養で稲が成長するので、土地を痩せさせません。対して畑や牧畜は、土地の栄養や地下水を使いすぎて、土地を痩せさせてしまうことがあります。また田んぼは、さまざまな生きものの命が宿る場でもあり、水の浄化や水害防止、土砂流出防止、気温上昇防止などの多くの利点も言われています。

これから世界に旅立つ彼らにとって、
この列島をはじめ東アジアで盛んに行われている
「田んぼ」の米づくりへの参加体験はどんな意味をもたらすのだろうか?

田植え終了後に全員で記念撮影

5年目の米づくり。「稲梓の田んぼ」1年目、田植え終了!! ありがとうございました!

軽トラックの荷台でカレーを配膳

田植え後のお楽しみ〜。千代田屋旅館特製「猪カレーライス」! ご飯は昨年の大賀茂の田んぼでとれた自家製米を炊いてもらいました。

持続的な営みであり、地域の人も喜んでくれる田んぼなのに
今、その担い手がいなくて、
どんどん耕作放棄地が増えています。
先日、東京と横浜から下田を訪ねてくれた古い友人を
田んぼに案内しました。

そのとき、友人たちにこう尋ねられたのが印象に残っています。
「こんなに広い田んぼは、いくらで借りられるの?」

都会の価値観だったら、
この広さの土地を借りたらいくらするのだろうか? と考えるのは
不思議ではないのかもしれません。
「タダだよ。借りてくれてありがたい、って感謝されるくらい。
獣害対策の柵も補助金が出るんだ」
と話したら、すごく驚いていました。

田んぼに電気柵を設置する様子

田植えの前に獣害対策の電気柵を設置。大賀茂の田んぼ周辺には猪は出るけど鹿は出なかったので、大がかりなものは必要ありませんでした。しかし稲梓の田んぼ周辺は鹿が多い地域なので、このような背の高い柵が必要になります。材料だけで総額13万円ほどしましたが、市と農協で合わせて8割も補助していただきました。

まあ、そんなこんな、とにもかくにも。
5年目の米づくり、「稲梓の田んぼ」での初めての田植え、
無事に終了しました。
ここに田んぼをお借りできた縁に感謝しつつ、
しっかり苗が育つのをサポートしていきたいです。

田植えが終わった後の苗が並ぶ田んぼ

この頼りない苗が、秋には穂を実らせます。いやしかし、バラバラな植え方ですね。この不揃いさが手植えの良さ……かな? みんな違って良いではないか。