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当日は雲ひとつない晴天!
これは暑すぎるかな? と心配するほどでしたが、
山に囲まれた川沿いの田んぼには、とても爽やかな風が吹いていて、
絶好の田植え日和でした。
大人も子どもも、日常では関わらないであろう人たちが一緒になって、
泥んこになりながら作業するというのはやはりいいものです。
今年から借りた稲梓の田んぼは、
下田のなかでも内陸の山間部に位置し、里山の広がる静かな場所です。
地名に「稲」がつくほどですから、
もともと米づくりは盛んな地域なのですが、
最近は担い手不足から耕作放棄地が増えています。
そんな地域で30人近くも集まって田植えをしていたのが
とても目立ったようで、
途中、地域の方々が足を止めて様子を見守ってくれていました。
「この光景を見るのは50年ぶりだよ、懐かしいねえ」
「子どもの頃、手伝ったね〜、いい思い出だ」
「ここがこんなに賑わうのも何年ぶりだろね」
「耕作放棄地が増えているから、
田んぼをこうしてやってくれるのありがたいねえ」
そんな声が田んぼのまわりから聞こえてきました。
米づくりは地域の水路を使わせていただくこともあり、
地域の方々に認めてもらえなければできないとも感じています。
下田への移住者、しかも下田といっても離れた地域に暮らす自分たち。
この地の田んぼで米づくりをすることを受け入れてもらえるのだろうか?
少なからず不安もあったので、
地域の方々のそんな言葉を聞けて、うれしくなってしまいました。
そして、田植えに参加するのを楽しみにしてくれていた
田んぼの近くに暮らす子が、
普段は見せないような頑張る姿を見せてくれたりもしました。
そんなことがあると、結果としては、やっぱり、
多くの人を巻き込むこの舞台をつくれて良かった気がしてしまうのです。
これからしばらくは、みんなで植えた苗がしっかりと成長するために、
サポートをしてあげる期間となります。
大賀茂の田んぼでは
「ヒエ」と「コナギ」という雑草に悩まされました。
稲梓の田んぼの雑草はどんな様子だろうか?
無事に雑草や病気に負けずに育ったら、秋には稲刈りです。
きっとまた、多くの人を巻き込むべきか? 悩みつつ、
結局、巻き込んでしまうのかもしれません。
そのときは、また、この里山にたくさんの子どもたちの
元気な声を響き渡らせたいです。