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3年半経って振り返る、高齢者の移住。
よかったこと、不安なこと|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.115

Page 4

病院に通うのは不便?

よかったこともあれば、不安や寂しさを感じていることもあるようです。
例えば、下田に来てからまだ友だちができないこと。

東京にいたときには隣の方と仲がよく、
よくお茶をしたり立ち話をしたりしていたのだそうです。
下田でも老人会や絵手紙のサークルに参加するなどしてみたのですが、
なかなか継続したおつき合いには発展しませんでした。
地元の方だけのグループにひとりで飛び込むのは
気構えてしまうといった様子。

たしかに、知らない集団の中に溶け込むというのは
そう簡単なことではありません。
例えばふと知り合った方と1対1であれば、
自然と仲良くなることができるかもしれない。

私たちは年内に引っ越しをするのですが、
すぐ隣の家に母が住む予定です。
さらに、そのお隣には同年代の御老人がひとり暮らしをしています。
ひょっとしたら茶飲み友だちになれるんじゃないかな~
なんて希望を、密かに抱いております。

その反面、母からこんな発言も時折。
「下田は空気がいいし、静かでいいところだよね~。
ご近所づき合いもしなくていいし、気楽だね」と。
つまり、友人がいると楽しいけど煩わしい。
いないと寂しけれどラク、ということのようです。それもそうだ。

ビールを味わう母

病院に関してはどうかというと、もともと持病だった
間質性肺炎が悪化し、そのときは大変な思いをしました。
呼吸器の専門医が下田にはいないので、
車で1時間半ほどかけて大きな病院まで行く必要があったのです。
高齢者にとって車で往復3時間の移動はなかなか体にこたえます。
しかも体調が悪いのですからなおさらです。

結局、母も遠くに通うのはしんどいということで、
下田の総合病院の内科で治療を受ける選択をしました。
自宅療養と通院を重ねて無事に回復したので、
結果的には下田の病院でなんとかなりました。

その後も1度だけ、やはり肺炎が悪化したことがあったのですが、
そのときには下田から車で20分ほど離れたまちにある
別の病院に入院しました。母も最初は不安そうでしたが、
病室も清潔で看護師さんや医師の対応も親切でとてもよく。
入院したらすっかりその病院が気に入った様子。
安心して治療を受けることができて無事に快気しました。

いざというときにはあの病院があると母も思っているようで、
気持ちが少し楽になったようです。

普段通っているのはまちなかにある眼科と、総合病院の内科など。
自宅からは車で10分ほどなので可能なときは私たちが送迎しますが、
タイミングが合わないときはタクシーを使っています。

タクシーは不便じゃないかと聞いてみると、すごくスムーズだそう。
電話番号が登録されているので、
連絡すれば場所を伝えなくてもすぐに迎えにきてくれる。
帰りもアパートの名前を伝えれば、
運転手さんがすぐにわかってくれるのだそうです。
小さいまちならではの便利さかもしれません。

庭で娘と母がお弁当ランチ中

普段の買い物も移住してから始めた生協が便利で、
スムーズに行えています。
毎週決まって必要なパンや牛乳、水やティッシュなど
かさばるものは生協で頼みます。
そのほか魚や肉は実際に見て買いたいということで、
週に1度スーパーに一緒に行きます。

週に1度というのも母と相談して決めたのですが、
生協があるのでそれくらいがちょうどいいとのこと。
曜日は日曜か月曜がいいという母からのリクエストです。
こういうことも少し具体的に決めておくと、
お互いに無理がなく快適になります。

「アオキ(という下田のスーパー)で買った魚がおいしかったよ~」
と、地元のスーパーもお気に入り。
ただ、東京のように徒歩で行くことができないので、
それは少し残念そうです。
坂も多い下田のまち、ふらっと歩いて出かけるのがなかなか難しい。
母には少し寂しい思いをさせてしまいますが、
週に1度のアオキを楽しんでもらえたらと思います。

スーパーで買い物中の母と娘

娘はお買い物のお手伝いをして、お菓子を買ってもらうというのが恒例です。