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廃校になった学校はどうなる?
少子化の進む地方の現実と
廃校利用の可能性|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.097

Page 2

地域の避難場所だった学校が廃校に

日、地域の避難訓練がありました。
まちにサイレンが鳴り響き、自宅近くの集合場所に集合。
集まった自宅周辺の人たちと広域避難場所の中学校に歩いて行く。
着いた中学校では、市長による阪神淡路大震災の被災体験談に始まり、
消火器使用方法の説明、地震体験車での疑似体験、
備蓄食料の配布などがありました。

地域の避難訓練

静岡県は12月の第1日曜日を、1944年12月7日に起きた昭和東南海地震(最大震度6、マグニチュード7.9)の教訓を生かすための「地域防災の日」と定めています。いつ起きてもおかしくないといわれる南海トラフ地震によって多くの被害が想定される静岡県、住民たちの危機意識もかなり高いです。

集まった地域の人たちには顔見知りの人も随分と増えました。
もしもの時、こうした避難訓練を重ねているというのは、
また、地域の人たちの顔を知っているということで
どれだけ違ってくるのだろう?

東京で暮らしていたときには、こうした避難訓練がなかったことや
隣の人の顔も知らなかったことなどを思い出し、
防災に対する意識や体制も東京と地方で随分と誓うものだと実感。

昨年、大型台風が直撃した際にも、この中学校は
避難場所として多くの地域住民を受け入れていました。
結局、伊豆はそこまでの被害はなかったのですが、
こうした避難所があるということの重要性を
あらためて感じたことを覚えています。

そこで、ふと疑問に思ったことが……。
「そういえばこの中学校、もうすぐ廃校でなくなってしまうはず……。
地域の避難場所はどうなってしまうのだろう?」

広域避難場所の中学校

わが家が移住した下田市はほかの多くの地方と同じく
少子高齢化が進む自治体です。
人口としては、1975年の31700人をピークに減少し続け、
現在は21000人ほど。減少が収まったかというとそんなこともなく、
現在進行形で進んでいます。

下田の海

コロナ禍にあって東京から地方へ人口が移り始めるという、
人口減少に悩まされている地方自治体にとっては良い兆候もあります。
とはいっても人口減少のペースを食い止められるのか? というと
厳しいようです。

現在、市内の中学校4校中3校が1学年1クラス、
残る1校も1学年2~3クラスとのこと。
そんな状況から、これまで4校あった中学校が
2022年春に1校に統合されることが決まったのです。

通学や地域の避難場所をどうするか? 
といった大きな問題もあるのでしょうが、
現実的には統合せざるをえなかったということなのでしょう。

教室内

文科省は中学1校に12~18クラスという標準規模を設けているそうです。あくまで基準ということですが、現状の1学年1~2クラスだと部活も限られてしまい、子どもたちの可能性を伸ばすという意味でも厳しいものがあるのかもしれません。

統合されると学区が市内全域になるということで、
広範囲から生徒が通学することになります。
いまのところ、統合後は、学校から2キロ以内は徒歩、
2キロ以上は徒歩か自転車かバス(基本は路線バス、
路線バスのない地域では通学バス)で通学という方針とのこと。

当初は4キロ以内が徒歩か自転車、4キロ以上がバス
という方針となっていて、かなり長い距離を
自転車で通学させることに危険性を感じていました。
そこが改良されたことは一保護者としては安堵しています。

バス通学となると、定期代の補助など、
市の財政の負担の面などで厳しい面もあるのかもしれませんが、
子どもの安全面を最優先にした体制となることを願うばかりです。