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今年のはちみつできました!
養蜂場での「ナンキンハゼ」との闘い
が教えてくれたこと|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.085

Page 4

生態系の絶妙なバランス

ユンボでナンキンハゼをどんどん引っこ抜いていく。
この木から増えていったのか? というような
ナンキンハゼの親玉(?)も見つけたので伐根。
こうして抜いたのは大小合わせて100本以上はあったかと思います。

伐根したナンキンハゼ

伐根したナンキンハゼの一部。

おそらく、このナンキンハゼの原産地では、
この木を食す虫や動物などがいる、競合植物があるといった理由で
ここまで異常繁殖はせず、ほかの動植物とバランスを保っているはず。

ところが、海を越えてやってきたこの地では、
そうした天敵がいないためか「異常繁殖」という事態が起こってしまう。
紅葉がきれいだから、栽培に手間がかからないから……といった理由で
安易に土地になかった種を入れてしまう怖さを感じるとともに、
生態系がいかに絶妙なバランスで成り立っているのか? 
あらためて感じる出来事となりました。

ただ、こうしてユンボでナンキンハゼを抜いていくにしたがって、
それまで手をつけることができなかった農地も自然と整地されています。
いつかはここも……と思っていて
なかなか手をつけられないエリアがあったのです。
ナンキンハゼ退治のおかげで農園の整地が一挙に進みました。

さらにユンボで伐根

ということで、整地が進んでいくと……
ここにも蜜源になるレモンを植えられるのではないか? 
という農地が現れました。

ユンボで整地

せっかくのなので、レモンを植えることを想定して
ユンボで整地してもらいました。
鬱蒼として、草刈もしにくい場所だったのですが、
嘘のようにすっきりとなりました。

整地に利用した重機たち

こんな問題が起こり、それがきっかけとなって新たな開拓を始めたので、
ヤギを迎え入れるのはもう少しあとにしようということになったのです。

いま、草木がものすごい勢いで伸びる時期。
農園周辺を見渡すと、まだナンキンハゼが
芽吹いているところがあります。一度は退治したのですが、
まだまだ地中に種なり根なりが残っているのでしょう。
小さい芽であれば人力で引っこ抜くことができます。
芽に気づくと引っこ抜く、すっかりそんな癖がついてきました。

しばらくの間は、ナンキンハゼがまた異常繁殖しないように
しっかり管理していかなければならないようです。

また繁殖してきたナンキンハゼ

気づくと生えてる、本当にすごい繁殖力です。

この出来事を通じて、いわゆる外来種問題、
もともとの場所から別の場所に持ってくることが
いかにリスクがあるのか? を実感しました。
とはいっても、庭木から野菜まで、現代は外来種にあふれています。
何でもかんでもリスクがあるわけではなく、持ち込んだ先で
繁殖力を持ってしまう場合ということにはなるのでしょう。

この繁殖力について考えると……、
もしかしたら新型コロナのような新種のウイルスにもいえることでは? 
と連想してしまいました。

コロナウイルスは、もともとは人間の立ち入らない場所で
人間と関わることのなかった野生動物と
共存関係にあったウイルスだったといいます。
それが、何らかの理由で、本来いるはずのない人間の暮らしに入り込み、
繁殖、もとい感染を拡げてこのような事態を引き起こしてしまいました。

植物もウイルスも、もともと生存していた場所では、
絶妙なバランスのもとで成り立っていたわけです。

それを崩すことは簡単。
でも、一度崩すともとの世界を取り戻すのは簡単なことではない。

その土地になかった種を持ち込むこと。
必要以上に人間の領域を拡げようとすること。
それがいかに怖いことなのか? 
自然が気づかせてくれることはたくさんありそうです。

養蜂作業

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高橋養蜂

住所:静岡県下田市箕作787-1

TEL:0558-28-0225

Web:http://takahashihoney.net/

文 津留崎鎮生