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友人がつくる家庭料理からは、それぞれの暮らしぶりや
人となりがうかがえます。みんなが持ち寄ることによって、
一方的ではなくお互いの手料理を食べ合う。
それによってまた理解が深まり、一体化していくように感じるのです。
そして、「おいしいね~」と言われたらうれしいし
「どうやってつくるの?」なんてレシピを伝え合うことで
お互いの家庭の味を交換できる。
ほとんどが手のこんだものではなく、
日常つくっているような簡単な料理です。
そうした料理だからこそ、お互いにくつろげるのかもしれません。
各家庭で料理にかける時間は、年々短くなっているといわれています。
外で働く時間が長くなった分、家で過ごす時間が減り、
料理をする時間がないというのです。
その結果、簡単で安く手に入るファストフードや
インスタントに流れていく。
アメリカのジャーナリスト、マイケル・ポーランは、
著書『人間は料理をする』の中でこんなことを書き綴っています。
料理は、現代の暮らしでは希少になった機会
「自分の力で働き、食を提供することで人を支え、
自分も支えられるという稀な機会」をもたらす。
これが「生活する」ということでなければ、何がそうなのだろう。
経済的に考えれば、アマチュアが料理するのは
時間の最も有効な使い方ではないかもしれないが、
人間の感情で計れば、それは素晴らしいことだ。
愛する人のために、おいしくて栄養のあるものを用意することほど、
利己的ではなく、あたたかで、有益な時間の過ごし方があるだろうか。
それぞれが手をかけてつくった料理を持ち寄り、
それを中心に食卓を一緒に囲む。
その安心感や温かさは何にもかえがたいものです。
さて、今週末は何をつくっていこうか。