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写真でまちが楽しくなる。
写真家MOTOKOさんが語る
〈ローカルフォト〉の力|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.068

Page 4

私の役割は“酵母菌”……?

正直なところ、いままで「地域のために自分ができること」なんて
大それたことは考えていませんでした。
ただ漁師さんや海女さんの姿に惹かれ、
わくわくしながら撮影していただけ。

けれど、自分が好きで向き合っていることで、
もし誰かを元気にすることができるのだとしたら。
そんな幸せなことはないのです。

雑誌『クロワッサン』を手にする海女さんたち

今年の春、雑誌『クロワッサン』にて下田の海藻について取材させてもらいました。撮影させていただいた海女さんに雑誌を渡しにいくと、みなさんで回し見しながらとても喜んでくれました。

ひじきごはん

この日は店主の山田さんが、下田の海藻にちなんだ料理を振る舞ってくれました。わが家のお米で炊いたひじきごはん。(撮影:宝田麻理子[下田写真部])

この日、もうひとつ印象的だったのは参加者のみなさん。
ほとんどの方がいままで話したことのない初対面同士です。
けれど、同じテーブルを囲むうちにお互いに興味を持ち、
しだいにつながりができていきました。
その穏やかで温かいエネルギーが生れたことは、
私にとってとてもうれしいできごとでした。

MOTOKOさんより、後日こんな感想をいただきました。

「津留崎さんの写真を堪能したあと、
被写体の方々が採ってきてくれた食べ物をいただく。
みんなで“ありがとう”と感謝して
“おいしいね”と言い合うことで最高に幸せになれる。
そんなかつては当たり前だったことを、もう一度再開することで
何かが変わっていくのかな? と思ったりしました」

イベント後の懇親会での食事風景

鰹の刺身

漁師さんからの差し入れ。お父様が釣った鰹だそうで、臭みがまったくなく旨みの凝縮。いままでで食べた鰹の刺身で一番おいしかった!

じゃがいもの煮っ転がし

海女さんからいただいたじゃがいもで、煮っ転がしをつくって持参しました。「この写真のお母さんがつくったじゃがいもです」という説明を聞いて、みなさんひと味もふた味もおいしく感じられたようです。

器に盛られたところてん

須崎で採れた天草を使ったところてんと、天草の漁もするという須崎の漁師さん。

MOTOKOさんが対談のなかでこう話してくれました。

「津留崎さんは酵母菌なんですよね。
もともとまちにはいい土壌があるんだけれど、
何かが滞ったときに酵母菌を入れなくちゃならない。
何年かに一度、酵母菌をボンッて入れる必要があるんです」

MOTOKOさんと対談したあと、自分が酵母菌だというイメージを
頭の中で膨らませてみました。
もし私が酵母菌だとしたら、
周囲をどんなふうに醸すことができるのだろうか。

懇親会を撮影中

ふとした瞬間をすかさず切り取るMOTOKOさん。遠路お越しいただき、本当にありがとうございました!

トーク中の母を見守る娘

会場の隅で私を見守る娘。仕事場によくつき合ってくれる娘よ、ありがとう。