Page 4
正直なところ、いままで「地域のために自分ができること」なんて
大それたことは考えていませんでした。
ただ漁師さんや海女さんの姿に惹かれ、
わくわくしながら撮影していただけ。
けれど、自分が好きで向き合っていることで、
もし誰かを元気にすることができるのだとしたら。
そんな幸せなことはないのです。
この日、もうひとつ印象的だったのは参加者のみなさん。
ほとんどの方がいままで話したことのない初対面同士です。
けれど、同じテーブルを囲むうちにお互いに興味を持ち、
しだいにつながりができていきました。
その穏やかで温かいエネルギーが生れたことは、
私にとってとてもうれしいできごとでした。
MOTOKOさんより、後日こんな感想をいただきました。
「津留崎さんの写真を堪能したあと、
被写体の方々が採ってきてくれた食べ物をいただく。
みんなで“ありがとう”と感謝して
“おいしいね”と言い合うことで最高に幸せになれる。
そんなかつては当たり前だったことを、もう一度再開することで
何かが変わっていくのかな? と思ったりしました」
MOTOKOさんが対談のなかでこう話してくれました。
「津留崎さんは酵母菌なんですよね。
もともとまちにはいい土壌があるんだけれど、
何かが滞ったときに酵母菌を入れなくちゃならない。
何年かに一度、酵母菌をボンッて入れる必要があるんです」
MOTOKOさんと対談したあと、自分が酵母菌だというイメージを
頭の中で膨らませてみました。
もし私が酵母菌だとしたら、
周囲をどんなふうに醸すことができるのだろうか。