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下田のまちを灯し続ける
食堂〈Table TOMATO〉と
イベント「風待ちテーブル」のこと|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.057

Page 4

「風待ち港」のように人が集まる場に

そんなTableTOMATOで、この3月から
月1回開催される新しいイベントが始まりました。
その名も「風待ちテーブル」。

イベントをお知らせする黒板

(撮影:山田真由美)

下田は「風待ち港」の歴史があります。
風待ち港とは、悪天候で船を一時的に避難させる港のこと。
下田は江戸時代に大阪と江戸という最も海運が発達した航路の
重要な風待ち港であったことから栄えたという歴史があります。

そんな下田ですが、昨今は人口減少や
シャッター通り化する商店街といった問題が山積み。
下田以外にも拠点のある真由美さんだからこそ、
その問題をより感じているのかもしれません。

そこで、風待ちをする船のように自然とさまざまな人たちが集まり、
まちのこれからについて語り合う……そんな場が必要なのではと
「風待ちテーブル」の開催を決めたといいます。

その第1回目が、先日3月18日に開催。
ふたりのスペシャルゲストの話もとても興味深く、
出会い、語り合う場づくりだけに終わらない点もよかったと感じました。

「風待ちテーブル」の様子

(撮影:山田真由美)

まずは、〈伊豆龍馬会〉の石垣直樹さんによる
「風待ち港下田と龍馬」の話がありました。
脱藩した坂本龍馬が師匠・勝海舟とともに
下田で風待ちして留まっていたとき、
同じく土佐藩主・山内容堂一行も風待ちで下田に。
その下田での「風待ち」が歴史が動くきっかけになったそうなのです。

実は幕末や維新にあまり興味がない自分ですが、
下田で起こった偶然が歴史をつくったことに興奮してしまいました。

〈ホテルジャパン下田〉の料理長、蜂須賀喜八郎シェフ

(撮影:山田真由美)

そして、〈ホテルジャパン下田〉の料理長、蜂須賀喜八郎シェフからは
「ローカルファースト」というテーマでお話がありました。
地元の食材をどのように工夫して料理しているのか? 
画一的にならないための心構えについてなどなど、
とても興味深い話でした。

飲食店、宿泊業の方が多く参加されていたので、
みなさんの真剣さも相まってすごい熱気でした。

伊豆の食材でおばんざいを堪能

当日は真由美さんのもうひとつの拠点である湘南エリアで「おばんざい横丁」というイベントを主催されている料理家の大久保浩子さん、ご主人の料理人の大久保暢哉さんがイベントのために下田まで駆けつけてくれて、伊豆の食材でおばんざいを。贅沢な夜でした。

イベントを終えて数日後、真由美さんは「風待ちテーブル」について
Facebookにこんな書き込みをしていました。

白浜で民宿をされている方からはこんな感想をいただきました。
「みなさんがそれぞれ自分の風を待ちながら、語り合える場。
まさに下田っぽいと思いました。」と。
「風」をうまくつかめるかどうかは、自分しだい。
その風を起こすのも、つかむのも、
波にのれるかどうか、波を起こせるかどうか。
風待ちテーブルが集まるひとたちにとっての
風と波を起こせる場にしていきたいと思います。

第2回は4月22日(月)17時~

イベントが開催された夜の〈Table TOMATO〉外観

自分の風を待ちながら語り合う場、風待ちテーブル。
毎月の楽しみにさせてもらいます。

真由美さんセレクトの本

店の片隅には真由美さんセレクトの本が置かれています。有効活用されていない2階をセレクト書店にする計画もあるとか。真由美さんのアイデアは料理だけには収まらないようです。

ご両親のTOMATO CLOSETから真由美さんのTable TOMATOへ。
世代が変わっても「TOMATO」が下田のまちを灯し、
そして「場」をつくり「文化」を発信し続けています。

information

map

Table TOMATO

住所:静岡県下田市1-11-18

Web:https://facebook.com/TableTOMATO/

文 津留崎鎮生