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移住がきっかけでパン屋に?
伊豆に移住したカメラマンが
ときどきパン屋をやろうとする理由|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.025

Page 4

夫の後押し、そして新しいことへの挑戦

ある晩、夫と晩酌しながら
「パン屋、本当にやってみようかな……」と私がつぶやくと、
「テツのパン本当においしいよ! やってみたらいいよ!」と大賛成。
東京の仕事を続けながら、下田で新しいことを始めてみるのも
いいんじゃないか。そんなことも夫婦で話しました。
そうして、パン屋をやってみようということになったのです。

ライ麦パンの断面。玄米酵母を使用しているため、もっちりしっとりどっしりした食感です。友人によると「ごはんのようなパン」だそう。

ライ麦パン。少し酸味があるので、生ハムとクレソンなどを挟んでサンドイッチにすると美味。

小豆入りライ麦パン。固めに茹でた豆の食感が心地よいずっしりパン。

話が少しそれますが、夫に
「写真撮ってるよりパン焼いてるほうが多いけど、大丈夫?」
と言われるほど、一時期はパンづくりに没頭していました。
そんなことができたのも、下田に移住したからなのです。

下田に住み始めてから、忙しい月は毎週東京に出張していますが、
暇な月はほとんど仕事をしていません。
東京にいるときよりも、圧倒的に仕事も就業時間も減りました。

いえいえ、暗い話ではないのです。

それくらい仕事が減っても、以前と変わらず
声をかけてくれる方々のおかげで暮らせています
(貯金ができるほどではありませんが)。
収入は減りましたが、その分時間のゆとりができました。
子どものお迎えも16時に行けるようになり、
家族3人揃って夕飯を食べられるようになりました。

そして、パンに没頭する時間も持てたのです。
つまり、移住していなければパン屋をやろうとまでは思わなかったはず。
不思議な展開のようにみえて、実はすべて必然のようにも感じられます。

私に触発されて、娘も「粉遊びしたい~」と一緒に楽しんでくれます。

話を戻します。

パン屋をやると決めてから、どんな形態で販売するのがよいか
夫と相談してきました。店舗を持つのか、
それとも移動販売とかインターネット販売、直売所に卸す方法もあります。

いずれにしても営業許可を取るには、
自宅のキッチンとは別の作業場が必要です。
貸店舗や中古のキッチンカーやらを探し始めると、
しだいに現実味を帯びてきます。
初期投資として少なく見積もっても300万くらいは必要になる。
会社を辞めたときの退職金にいよいよ手をつけるときがやってきたか……。

ひるみます、正直ひるみます。

飲食店の経験もないし、販売するほど大量のパンを
焼いたこともない自分が、本当にやれるのだろうか……。
いきなり初期投資をして続けられなかったらどうしよう……。
覚悟のできない自分を「弱虫!」と心の中でののしってみても、
払拭できない不安感。