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丁寧な暮らしとは? 移住とは?
娘とふたりで過ごした
三重の仮住まいで考えたこと。|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.008

Page 4

環境の急激な変化に娘は?

仮住まいではありますが、とうとう始まる移住生活、田舎暮らし。
目指す暮らしに一歩近づいたと僕のテンションは上がりまくってました。

ところが、いざ仮住まいで暮らし始めると、僕とは反対に
娘のテンションはどんどん下がっていきました。
僕が娘と向き合っている時はまだ問題なかったのですが、
人に会ったり作業しているとすっかりテンションが下がり、
ストレスを感じるようになっています。

しまいには「山に住みたくない、東京に戻りたい」と言い出す始末でした。

古民家はふたりで過ごすには大きく寒すぎるので離れに泊まりました。慣れないキッチンでおにぎりを握る娘。こうしている時は楽しそうにするのですが……。

娘にとって、初めての田舎暮らしで
両親が揃っていないのは厳しかったようです。

住む家が変わり、それも東京から田舎という環境の変化、
さらに両親が揃っていないというこの状況、
娘にとっては過酷だったのでしょう。
そして、東京の家が3世帯同居のわが家の場合、
同世代のいとこたちやおじ、おば、おばあちゃんがひとつ屋根の下にいます。
東京の家が賑やかな分、余計に寂しいのでしょう。

このまま無理して暮らし始めると娘にとって良くない、
そんな風に感じるくらいでした。
パパっこなうちの娘は僕と一緒なら大丈夫という甘い読みがあり、
娘がそこで暮らし始めてどう感じるかを深く考えずにいたのかもしれません。
おっちょこちょいな僕ですので失敗ばかりですが、
今回は本当に自分の浅はかさを悔やみました。

そもそもは家族で丁寧に暮らしたい、
そんな思いで移住することを決めたわが家です。
それなのに条件のいい仮住まい物件が出てきたことで
舞い上がってしまいました。そこで早く暮らし始めたいと焦っていました。
娘の発言でそんなことに気づくという本当に情けない親です……。

丁寧に暮らすってどういうことだろうと、このふたり旅であらためて考えました。娘も考えているのかな……。

結果としては仮住まいでほんの数日間を過ごし、
妻のいる東京に戻ることにしました。
時には撤退する勇気も必要です!

とにかく、娘の気持ちが移住に向くように落ち着いて態勢を整えよう。
一番大切なことは何なのか? あらためて自分に問い直し、考え直しました。

富士のすそ野を行ったり来たりしてます……。高速代もばかにならないので一般道で帰ることに。運転中は娘と歌を歌ったり、クイズやしりとりを。ちなみに一般道だと9時間。休み休み行くと1日かかる感じです。高速でがつがつ移動しているともちろん速いけれど娘は退屈そう。移動も楽しめばいいのかなと。

普段は家で食事をつくることが多く、たまの外食のときも、チェーン店は好かん! というこだわりでファミリーレストランやファストフードに連れて行くことは滅多にありません。でもたまは解禁! お子様ランチがうれしいようでテンション上がってます。親の考えを押しつけすぎるのもよくないな、と反省。メリハリメリハリ……。でもパパのつくるハンバーガーのほうがおいしいねと言っていたのでそこはほっとした……。

始まったような、始まっていないような、仮住まいでの田舎暮らし。
家族で丁寧に暮らすってなかなか難しいです。

わが家の移住、この先、どうなるのでしょうか……。

写真・文 津留崎鎮生