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月刊特集・一粒が今に紡ぐ、種の話。

Seeds and Stories

種は“人の手と土地の記憶”を刻む。

私たちが普段スーパーマーケットなどで目にする野菜とは異なり、
土地の風土や気候のもとで種を採り、守り継がれてきた品種が、
実は日本にたった1%存在することを知っていますか?

種を蒔いて芽が出て、花が咲いて実を結んで、また種を採る。
それを何十年、何百年もくり返し……
現在その数は全国で1200種を超えるともいわれています。
大根だけで150種を超え、その野菜たちが持つ多様な個性は、
種そのものが地域の風土を記憶し、土壌で育まれながら、
ここまで途絶えることなく大事に守られてきたのです。

photo:Terumi Takahashi

例えば、鹿児島の桜島大根と比べて、水分量が少なく固い東北の大根。
それは水分量が増えたら凍ってしまうと、野菜みずから知っているから。
土地の記憶を刻み、ひとつとして同じものがない大きさや形。
そんな地域の豊かな自然や人々の手で育まれた、個性豊かな野菜たち。

もしかするとあなたのまちにも、長い間守り継がれてきた野菜や、
種をつなぐ物語が存在するかもしれません。

今回の特集では、その魅力を全国に語り継ぐ八百屋や、
長崎県雲仙のオーガニック直売所、種採り農家のもとを訪ねました。
日本にある多種多様な野菜たちと、その種を守り続けている人々の営み。
それらを残していくために思いを紡ぐ、忘れてはいけない種の話。

Feature Article

一粒が今に紡ぐ、種の話。