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2年目の米づくりは、伊豆に上陸して大きな被害をもたらした
2度の大型台風の影響で、天日干しをあきらめました。
そんな天候の影響からか米の収量もずいぶん減り、
あらためて自然の厳しさ、作物を育てる難しさを痛感。
そして、この年に下田の海で、ある計画が持ち上がり、
「地方」と「東京」をあらためて考えるキッカケとなったのです。
決して広くない下田市には美しい海水浴場が9つもあり、
そんな海水浴場がにぎわう「夏の観光」があって成り立つ地域。
その海に高さ250メートルの巨大な洋上風車を
50基から100基も建てるという計画が持ち上がったのです。

洋上風力発電の事業計画が浮上。
巨大な風車が眼前にそびえたつ海水浴場?
このまちの観光は、経済はどうなってしまうのだろうか?
このまちの暮らしにだいぶ慣れてきて、
長く暮らしたいと思っていたときだったので、
計画を知ったときは驚きました。
でも、地元の人にとって必要な事業なのであれば
致し方ないと感じたもののの、
計画しているのは東京の外資系企業で、
そこでつくられた電気はこの地で使われることはなく、
海底ケーブルで運ばれていくというのです。
釈然としない思いをSNSでつぶやいていたら、
やはり同じような思いの地域の人たちとつながっていき、
あらたな人間関係が生まれるキッカケとなりました。
反対の声が大きかったからか、いまのところ計画はストップしています。
東京に暮らしていたら、無条件に「再生可能エネルギー」に
賛成していたのでしょうが、大規模に開発される側にいると
まったく違う意見となることを身をもって知りました。
誰のためのどんな計画なのか? 表面だけを見るのではなく、
さまざまな視点で深く考えていきたいと、
強く感じるようになった出来事でした。
