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そして、きつかったであろう小6男子君からは、こんなうれしいコメントが。
「田植え、誘ってくれてありがとう~!」
そして妻が「がんばってくれたから、大好きなアイス買ってあげる!」
とごほうびのお誘いをすると
「田んぼでできるご飯でいい! 楽しみ!」
と言うではありませんか。
彼にとっても、いい経験になったのかなとうれしくなりました。
子どもも苗も環境が大切なのでしょう。
決して米どころではない伊豆下田。
地元の人でも、家が農家でなければわざわざ田んぼを借りて
米づくりをするということはないそうです。
都会育ちのわが家だからこそ、そんな下田で米づくりに挑戦してみたい!
という発想があったのかもしれず、そんなわが家に巻き込まれた友人家族も、
新鮮な体験として喜んでくれました(と思います……)。
そんな意味でも、この田植えはとてもいいものだったのではと感じています。
大人も子どもも一緒になって泥んこになる! 年に1日くらい、そんな日があってもいい気がします。来年またやりたい! と。来年またやろう~!!
人数に関していうと、この人数より少ないと、とても1日では終わらず、
逆に多すぎると「田植え体験」になってしまう気がしました。
そういう意味では、ちょうどいい人数だったのかもしれません。
田植え翌日、中村さんに田んぼの管理方法のレクチャーを受けました。
「家族で家族の食べる米をつくる」
これはわが家が移住して、まずやってみたいことでした。
といっても田んぼをどう借りる? 機械はどうする?
家族だけでつくれるの? そもそもつくり方が全然わからない……。
そんな状態だったのです。
でも、南伊豆米店の稲作支援制度という仕組みを知り、
そして、友人たちの協力を得て、
米づくりのスタートを切ることができました。
まだ始まったばかりですが、本当にこの一歩を踏み出せて
よかったと感じています。
そして、この田植えをやり切ったことで、家族の絆、
友人たちとの絆がより深まった、そんな気もしています。
田植えのあと、腰を痛めた僕を見て僕の母はこう言いました。
「何も田んぼなんかやらなくてもいいじゃない。
父親らしくちょっと落ち着きなさいよ」
40代も半ばになって、母親に怒られるのはなかなか情けないものがあります。
確かにスーパーに行けば安く米を買えます。
経済的に考えれば、苦労して米をつくる、
さらには手で植える意味は「まったく」ありません。
腰を悪くするリスクもありますし……。
腰は自分の責任としても、台風などで
うまく収穫できなくなるリスクもあります。
でも、自分たちの食べるものを自分たちの手でつくって、
初めてわかることがある、そこに意味がある、
そんなふうに思っているのです。
わかってくれ、お母ちゃん。