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REBIRTH PROJECT Part2:
生命の循環とエネルギー
の循環。ファッション分野での
リバース流哲学。

貝印 × colocal
ものづくりビジネスの
未来モデルを訪ねて。
vol.018

posted:2013.9.10  from:大阪府泉佐野市  genre:ものづくり

sponsored by 貝印

〈 この連載・企画は… 〉  「貝印 × colocal ものづくりビジネスの未来モデルを訪ねて。」は、
伊勢谷友介さんがパーソナリティをつとめ、谷崎テトラさんが構成作家をつとめる「KAI presents EARTH RADIO」と連携して、
日本国内、あるいはときに海外の、ものづくりに関わる未来型ビジネスモデルを展開する現場を訪ねていきます。

editor profile

Tetra Tanizaki

谷崎テトラ

たにざき・てとら●アースラジオ構成作家。音楽プロデューサー。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。環境・平和・社会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の 発信者&コーディネーターとして活動中。リオ+20など国際会議のNGO参加・運営・社会提言に関わるなど、持続可能な社会システムに関して深い知見を持つ。
http://www.kanatamusic.com/tetra/

photographer

Suzu(Fresco)

スズ

フォトグラファー/プロデューサー。2007年、サンフランシスコから東京に拠点を移す。写真、サウンド、グラフィック、と表現の場を選ばず、また国内外でプロジェクトごとにさまざまなチームを組むスタイルで、幅広く活動中。音楽アルバムの総合プロデュースや、Sony BRAVIAの新製品のビジュアルなどを手がけメディアも多岐に渡る。
http://fresco-style.com/blog/

リバースプロジェクトの「ものづくり」のこだわり。

「人類が地球に生き残るためのプロジェクト」リバースプロジェクト。
俳優であり、リバースプロジェクト代表の伊勢谷友介に、
リバースプロジェクトの商品づくりについて聞いた。

「リバースプロジェクトでは衣食住の<衣>に問題意識とこだわりを持っています。
環境負荷を考えることは当然として、
大切なのはファッショナブルであること。
それはかたちだけではダメで、そこに未来の哲学があるかどうかだと思います。
地球のことを考えたうえで、買ってもらえる服を発信したい」

着ることによって、より自分への「誇り」を高める服。
その服を着こなすことで、そのアイデンティティを発信することができる服、
ということでもある。

それは具体的にはどんな商品になるのだろうか?

害獣の革を使ったアイテム。

「いま無益だったりたまたま害をもたらしているものから有益なものをつくり出すのは
クリエイターとして能力のみせどころ。
たとえば持続可能な素材を使うとか、
なるべく商品を移動しないで地産地消で行うとか。
究極をいえばゴミだけでなにかをつくっていくとか。
再生素材の分野でも、いまできることがたくさんあるはずです」

と伊勢谷さんは語る。

社会にとっていま課題となっていることから有益なものをつくること。
まさにその象徴が「害獣の革」を使ったアイテムだ。

害獣として駆除されたエゾシカのレザーをあしらったアイテム。

PIED PIPER REBIRTH PROJECT(PPRP)の 最新コレクション。秋冬コレクションは前シーズン同様オーガニックコットンなどの天然エシカル素材に加え、リサイクルウールなども取り入れて展開(写真提供:リバースプロジェクト)。

鹿革でつくられ、クラッチにもなるPPRPのバッグ(写真提供:リバースプロジェクト)。

伊勢谷さんの監督作品『セイジ』(2012年)では、
映画の冒頭、車に轢かれて死んでしまった巨大なイノシシを、
登場人物のセイジが解体し食べるシーンが出てくる。
ひとと自然の関係を生命のレベルで問いかける象徴的なシーンだ。

人間社会によって破壊された生態系。
その結果、里に降りてきた動物を害獣として駆除していく。
身勝手な人間の理屈、その矛盾を突きつける表現である。

農業被害が出ることを理由に駆除され、
そのまま捨てられる動物がいる。

伊勢谷さんは動物を駆除するなら、その肉を食べ、
余さず皮も使うべきだと考えた。
無論、大量生産はできない。
害獣として駆除された数だけ、数量限定で商品として再生する。

それは新たに命をまとうことになる。
長期的な世界を意識することは、人間だけができること。
ほかの動物にはできない。
そうした意識が生んだレザーアイテム。

オーガニックコットンとカシミアを織り込んだオリジナル生地のPPRPのスエットパーカー(写真提供:リバースプロジェクト)。

国産タオル業界の再生を目指して。

実際に商品を製造している工場で「ものづくりの未来形」を取材した。
リバースプロジェクトが商品づくりで組んでいる
パートナーのひとつが、(株)丸中。
大阪府泉佐野の老舗タオルメーカーだ。

日本国内のタオルは現在、85%が中国など外国産になっている。
残りの15%が国産。
そのほとんどが、愛媛県今治市と大阪府泉佐野市の2か所にある。

安い外国製品がはいってくるようになると、
問屋さんが国産のタオルを扱ってくれなくなったという。

これまでの受注生産の体制では産地が衰退して行くばかり。
そこで、それまでの流通を一括し、自社で販売するオンラインショップ
「タオル直販店トゥシェ」を立ち上げ、
自社で企画、生産、販売までを行うことになった。

外国産のタオルには値段で太刀打ちできない。
外国産に負けないためには、値段に相当する価値をつける必要がある。

直接消費者に訴えかけることは「日本製の安心とクオリティー。」
それは単に品質の良いタオルというだけでなく、
そのタオルの生産背景から見直し安心できる商品を提供すること。

「蛍光染料の不使用」「植物性成分による晒(さらし)」
「リサイクルエネルギーによるタオル生産」「太陽光発電の設置」など
日本の産地を継続していくためには環境へ配慮した生産活動は必須であり
生産者の責任だと考えた。

今回、新たな環境の負荷を減らす取り組みとして
丸中はリバースプロジェクトとパートナーを組み、
「MENERGY RROJECTメネルギープロジェクト」を開始した。

(株)丸中の中道哲社長。日本タオルの直販サイト「タオル直販店トゥシェ」。こだわりのものづくり、全品日本製をかかげるサイトを展開中。

タオルからエネルギーを。

丸中とリバースプロジェクトとのコラボ
「MENERGY RROJECTメネルギープロジェクト」ではタオルの原料である「綿」を
新しいタオル生産のための「エネルギー」に変える取組みを発信する。

「タオル直販店トゥシェ」で販売されるコラボタオルには回収用封筒をつけている。
購入者が家庭の使用済みのタオルを入れてポストに投函。
回収された使用済みタオルはバイオエタノールに分解され、
タオル生産時のエネルギーに再利用される。
これはもうひとつのタオル産地である今治で行われている
日本環境設計のリサイクル技術との連携で実現した。

伊勢谷さんはコラボレーションについてこう考えている。

「不要になったものをエネルギーに再生産する。
負のものを、ポジティブな物に変える。未来にとって大事なことです。
世の中に有用な、長期的に大切な技術に我々が関わることで、
違う目線を社会のひとにもってもらえること。
それがコラボレーションにおいて大切なことだと思っています」

泉佐野と今治というふたつのタオル生産地がエコの取り組みで結びついた。丸中が回収したタオルは今治に送られ、酵素の力で分解されバイオエタノールに変えられる。

エネルギー分野でのリサイクル。リバースプロジェクトが提携する丸中では、工場の屋根にも太陽光パネルが設置され今後も規模を拡大していく。

しかし環境負荷や日本製にこだわると、どうしても価格は高くなってしまうはず。
こだわった分、高くなってしまうことで、価格はリスクとならないだろうか?

伊勢谷さんは語る。

「むしろ自信を持って出せないような商品をつくるほうがリスクです。
プライドを持って出せる商品がブランド価値だと思うんです。
とはいえ、よい取り組みをする工場との関係のなかで、
値段をなるべく押さえたものをつくっていく努力も大切です。
現代のクリエイターはデザインするだけではだめで、
生産ライン全体や流通のされ方、廃棄のゆくえも考えていく必要があるんです」

リバースプロジェクトはそのうえでさらに
「日本」ということにもこだわっている。
日本の地域の産業を守りつつ、そのうえで伝統的な美意識をとりいれる。
さらに最新の環境技術やイノベーションを新たな価値として結びつけていく。

日本の伝統色を意識してつくられたコラボレーションタオルから栗色(KURIIRO)。ベルベットのような艶とふっくら肉厚な質感が魅力(写真提供:リバースプロジェクト)。

伊勢谷さんはそれを「消費者に対しての責任」と考えている。
「これからTPPも含めて物の流通が変わっていくでしょう。
つまり、自分たちがなにを食べて、なにを着ているか、
自分自身で判断するということ。
購入するということは、お金と交換するということ。
そのお金がつくった生産者にいく。生産者を助けることになるわけです。
この商品は良くないと感じるものは買わないこと。
自分が応援したい未来をつくっているものを探って、
良いと感じるものをしっかり選ぶことが大切だと思います。
その70億人の積み重ねが未来をつくっていくのです」

「KAI presents EARTH RADIO」
伊勢谷友介がパーソナリテイ、谷崎テトラが構成を務める「貝印 × colocal ものづくりビジネスの未来モデルを訪ねて。」と連動。「ものづくりビジネスの未来形」をテーマに地域から生まれる商品、未来モデルなどを番組で紹介している。
毎月第4火曜日 22:00(~23:00)インターFM76.1で放送。

http://www.kaitouchearth.jp/radio/
オンタイムでWEBでも聴けます。http://radiko.jp/

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株式会社 丸中

住所:大阪府泉佐野市上之郷1943
TEL:072-467-0641
http://www.toucher-home.com/

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